【指導参考事項】
乳用子牛の早期放牧に関する試験
(昭43〜45)
北海道立新得畜産試験場  乳牛科・衛生科

・ 目 的
 乳用子牛を早期放牧によって育成する標準を作成する。

・ 試験方法
 1. 供試子牛    平均60〜70日令で放牧した
 2. 放牧地     いね科優先牧草地
 3. 試験項目
  1)濃厚飼料の計画的補給
  2)線虫の駆除効果
  3)避難舎の有無による影響

・ 試験成果の概要
 早期放牧による育成標準は下記のとおりである。
  1)生後60〜70日令より放牧する。
  2)配合飼料を90日令頃から1日1.2㎏とする。
  3)いね科優先放牧地は1頭に10ア−ルほどを割当て、区画を6牧区とする。余剰草は4〜5牧区を6月上〜中旬に刈取る。
  4)避難舎は木造堀立ての床板張りとし、敷料を使用する。
  5)線虫に対する駆虫薬を3〜5回投与する。

・ 主要成果の具体的データー
 子牛の平均増体量と飼料摂取との関係
年次 処  理 旧増体量
(kg)
濃厚飼料(旧)
(kg)
増体1kgの
濃厚飼料
43 乾草・濃厚飼料区 112〜192日令 8.65 0.82 1.61
193〜245 0.39 0.94
乾草区 112〜192 0.68 0.82 1.00
193〜245 0.32 0.12
放牧区 112〜192 0.70 0.82 1.04
193〜245 0.23 0.12
44 濃厚飼料 0.4kg補給区 0.48 0.5 1.02
0.8   〃 0.56 0.8 1.50
12.   〃 0.63 1.2 1.89
駆虫薬 投与群 0.60 0.8 1.40
無 〃 0.51 0.8 1.65
45 避難舎 ある区 敷料床 0.67 1.2 1.81
土間床 0.55 1.2 2.24
ない区 0.61 1.2 2.02
駆虫薬 投与群 0.64 1.2 1.91
無 〃 0.57 1.2 2.14

・ 普及指導上の注意事項
 この育成標準の適用に当っては、とくに子牛の下痢に注意することが最も肝要である。