【指導参考事項】
重粘放牧地利用試験
(昭和40〜45年)
道立天北農試  草地科・管理科

・ 目 的
 天北地方における草地酪農の技術確立を、すなわち標準に劣らない発育と乳肉生産を得ながら、いかに草地(粗飼料)依存度、また草地の利用効率を高めるかを究明すること。

・ 試験方法
 その研究の一環として、1965年からホルスタイン子牛の放牧試験を行ってきている。ここでは、1970年までの6年間の結果(放牧群86頭、舎飼群10頭)について大要を報告する。
  1965年 試験1 若令放牧に適したほ育方式の検討と舎飼育成−放牧育成の比較。
  1966年 試験2 2、3、4ヵ月令放牧における補助飼料給与の必要性の有無を検討。
  1967年 試験3 2ヵ月令放牧における補助飼料給与期間の比較。
  1968年 試験4 子牛放牧に適した草地についての検討。
  1969年 試験5 試験4の2年目。
        試験6 3ヵ月令放牧における補助飼料の有無について比較。
  1970年 試験7 3、5、6ヵ月令放牧と放牧方法に比較。
        試験8 補助飼料給与の舎飼育成と無給与の放牧育成の比較。

・試験の概要
 1. 2〜6ヵ月令の子牛の放牧では、補助飼料を給与する場合に安定した良好な発育を示し、月令・舎飼期の発育などによる差は不明確である。また、補助飼料は、月令と無関係に30日前後の初期給与で十分と考える。
 2. 子牛の放牧開始は、6月中旬以後が、当地方の気象条件と草地の管理・利用の両面で好適である。
 3. イネ科+マメ科混ぱ草地での子牛の放牧は、マメ科率の季節変動・利用方法による増減を考慮し適用するならば、とくに危険であるとは言えない。換言すると、イネ科草地の有利性・必要性は、現段階では認められない。

・ 主要成績の具体的数字
 表1 放牧開始月令、補助飼料と放牧期日増体(㎏)
補助飼料
月令 無給与 初期給与 全期給与 平 均
6 0.34(1) 0.34(1)
5 0.38(1) 0.38(1)
4 0.72(1) 0.84(1) 0.78(2)
3 0.43(5) 0.81(1) 0.81(4) 0.58(10)
2 0.59(2) 0.75(4) 0.88(1) 0.73(7)
平均 0.46(10) 0.77(5) 0.83(6) 0.62(21)
舎飼 0.59(3) 0.59(3)
  注) ( )中の数字は試験群数
     舎飼群は3ヵ月令放牧群に相当する。

 表2 草地と子牛の発育
試験
番号
植生 利用
番草
放牧
日数
子牛
入牧
月令
日増
体 (kg)
1 GL(−) 2〜 100 6 3.6 0.94
2 GL(48) 2〜 105 24 3.3 0.84
3 GL(79) 2〜 107 15 2.0 0.65
4 GL(65) 2〜 80 4 3.0 0.71
G (28) 2〜 60 4 0.45
5 GL(36) 1〜 150 4 3.9 0.37
G (27) 1〜 150 4 0.24
6 GL(−) 2〜 79 5 3.1 0.56
GL(−) 2〜 92 5 0.58
7 GL(58) 1〜 130 6 4.9 0.37
GL(60) 1〜 139 6 0.21
  注) 植生でのGLはイネ科+マメ科混ぱ草地、Gはイネ科草地、()の中の数字はクロ−バ率の最高値(%)

 表3 まとめ
該当試験群数
内  訳
放牧期
日増体
補助飼
料給与
体重標準
比100以上
放牧開始6
月中旬以後
0.60kg未満 8 1 2 4
0.60kg以上 13 10 8 13
  注) 標準はホル協標準(雌)の下限値を100とした。

指導参考上の注意
  試験成果の概要に同じ。