【指導参考事項】
(総) 牧草の地域別適種適品種の選定と混播法に関する試験
 5. 飼料用ビートの適品種選定試験
(昭和43〜45年)
道立中央農業試験場 畜産部

・ 目 的
 道央・道南地域に広く栽培される飼料用ビ−トについて栄養生産性の高い品種を選定する。

・ 試験方法
 飼料用ビ−トのMangold系2品種、Fodder Sugar−beet系約3品種、計5品種につき、直播1区9㎡、移植1区12㎡、いずれも乱塊法、3反復で3ヶ年の栄養収量を比較した。

・ 試験成果の概要
 1. 直播条件下での乾物率はFodder Sugar−beet系が高く、Mangold系は低かった。
 2. 移植条件下での乾物率はFodder Sugar−beet系が直播条件下のそれより約1%低下するに反し、Mangold系は同等か逆に約1%上昇することが認められた。
 3. 生根収量は直播・移植共Mangold系が多く、又乾物収量は直播ではFodder Sugar−beet系のMGMが多かったが移植ではMangold系が多かった。
 4. 栄養収量では直播でDCP、TDN収量ともMGMが最大であったが、移植ではMangold系のSugar MangoldおよびBarres Strinoが多かった。
 5. 褐斑病に対してはMGMが特に耐候性が強いが、根腐れに対してはSugar Mangoldが強く欠株率が最も少なかった。
 6. 以上から当地域においてはMangold系のSugar Mangoldが最適と判断される。

・ 主要成果の具体的データ
 供試飼料用ビート品種の主要特性
品 種 分類 根型 根 色 肉色 肉質 根長 露出歩合
(%)
乾物率 DCP
(%)
TDN
(%)
地上部 地下部 直播
(%)
移植
(%)
Sugar
Mangold
Mangold くさび型 淡黄色 ち密 40 11.5 13.0 0.9 10.5
Half Sugar
Yellow
Fodder
Sugar-beet
くさび型 黄緑 淡橙

黄色
ち密 50 14.0 13.0 0.6 11.0
Barres
Stryno
Mangold 円筒型 黄緑 柔軟 40 11.0 11.0 0.7 9.0
MGM Fodder
Sugar-beet
くさび型 黄緑 ち密 40 15.0 14.0 0.8 12.0
Gul
Daeno
Fodder
Sugar-beet
くさび型 黄緑 淡黄 ち密 40 13.0 12.0 0.6 10.5

品 種 収 量 栄養収量 増収割合 耐病性 すき込み
状態
貯蔵性 産地 備 考
生根
(kg)
乾物
(kg)
DCP TDN 生根
(%)
乾物
(%)
褐斑 根腐
Sugar
Mangold
100.0
35.68
100.0
4.582
100.0
318.8
100.0
3.717
126 139 デンマ
−ク
優良品種
Half Sugar
Yellow
86.6 89.1 55.6 93.2 132 125 (ヤヤ)
デンマ
−ク
 
Barres
Stryno
103.9 90.6 77.2 92.4 120 121 (ヤヤ)
(ヤヤ)
デンマ
−ク
優良品種
MGM 78.5 87.0 70.1 91.1 118 111 デンマ
−ク
 
Gul
Daeno
91.9 87.9 61.5 92.0 198 125 (ヤヤ)
(ヤヤ)
デンマ
−ク
 
 収量: 移植標準施肥の3ヶ年合計収量、栄養収量も同じ
  Denmarkの分類:乾物率の20%以上  Sugar−beet for Fodder
              〃 15〜20%  Fodder Sugar beet
              〃 15%以下  Mangold(又はBarres)

・ 普及指導上の注意事項
 1. 適応地域は道央・道南を対象とする。
 2. 乾物率は標準施肥条件下のもの、DCP(%)、TDN(%)も同じ、従って多肥条件下ではこれより低下することに注意。