【指導参考事項】
(総) 牧草の地域別適種・適品種の選定と混番法に関する試験
 1.道央・道南地域における適種選定試験
(昭和43〜45)
道立 中央農業試験場

・ 目 的
 当地域に適する牧草の種を、栄養生産性、永続性、競合力などの点から選定する。

・ 試験方法
 1. 単播ではいね科13種、まめ科7種につき1区8㎡乱塊法3反復で3ヶ年間の生草収量、2ヶ年間の成分収量を比較した。
 2. 混番ではいね科13種、まめ科8種につき20混番組合わせ1区16㎡乱塊法3反復で3ヶ年の生草収量、混生比率、成分収量を比較した。
 3. 現地試験では単播でいね科7種、まめ科4種、1区6㎡、乱塊法、3反復、根播で同じ種につき8混播組合わせ1区9㎡、乱塊法、3反復で、生草収量、混生比率を比較した。

・ 試験成果の概要
  ほぼ同一の施肥・刈取条件で比較を行った結果、
 1. 乾物収量、粗蛋白収量、可溶性無窒素物収量を総合して判断するならば、当地域における適草種はオ−チャ−ドグラス、ト−ルオ−トグラス、リ−ドキャナリ−グラス、ペレニアルライグラス、マウンテンブロ−ムグラス、アカクロ−バ、ラジノクロ−バ、アルファルファが第1であり、次いでチモシ−、ソドーフェスク、ロ−ルフェスク、ケンタッキ−ブル−グラス、(イタリアンライグラス)シロクロ−バ、バ−ズストトリフォイルを考えることが望ましい。
  2. 永続性・競合力で判断するならば、基幹いね科草種はオ−チャ−ドグラス、ト−ルオ−トグラス、リ−ドキャナリ−グラス、基幹まめ科草種ではアカクロ−バ、アルファルファであり、随件草種としては、いね科ペレニアルライグラス、ト−ルフェスク、メド−フェスク、まめ科ラジノクロ−バであり、特殊の用途ではケンタッキ−ブル−グラス、シロクロ−バも良好である。

・ 主要成果の具体的データ
 2ヶ年合計成分収量および2年目成分含在率(平均)
草  種 生草
(kg)
O.M
(kg)
C.P
(kg)
C.Fa
(kg)
C.Fc
(kg)
C.A
(kg)
N.F.E
(kg)
O.M
(%)
C.P
(%)
C.Fa
(%)
C.Fc
(%)
C.A
(%)
N.F.E
(%)
オ−チャ−ドグラス 8.126 1.983 186 52 607 209 929 24.49 2.13 0.58 7.04 2.69 12.04
チモシ− 6.601 1.640 173 50 437 162 818 23.25 2.48 0.65 5.67 2.57 11.89
ト−ルオ−トグラス 6.507 1.890 209 49 566 189 877 26.31 3.32 0.73 7.75 2.93 12.16
イタリアンライグラス 3.624 773 97 23 196 97 360 21.33 2.68 0.63 5.41 2.68 9.93
ペレニアルライグラス 8.738 1.947 209 55 471 260 952 22.16 2.47 0.61 5.29 3.17 10.62
H. ライグラス 1.855 458 49 10 104 53 242 24.69 2.64 0.54 5.61 2.86 13.05
マウンテンフロ−ムグラス 7.126 1.768 222 60 522 221 743 23.67 2.79 0.80 6.79 3.14 10.15
スム−ズフロ−ムグラス 3.771 960 128 30 253 101 448 25.42 3.14 0.73 6.14 2.30 12.61
メド−フェスク 6.550 1.650 170 39 446 206 789 24.70 2.37 0.52 6.16 3.01 12.64
ト−ルフェスク 6.100 1.630 188 38 423 248 733 24.75 2.73 0.55 5.88 4.18 11.42
リ−ドキャナリ−グラス 7.911 2.016 232 55 531 290 908 24.38 2.51 0.65 6.39 3.55 11.28
レッドトップ 4.524 1.189 131 29 288 122 619 25.71 2.55 0.54 5.82 2.73 14.06
ケンタッキ−ブル−グラス 4.630 1.438 182 49 418 160 629 31.06 2.89 1.08 9.03 3.46 13.61
アカクロ−バ 12.194 2.215 470 78 452 250 965 18.88 4.06 0.70 3.87 2.37 7.88
アルサイククロ−バ 6.060 797 189 18 141 111 338 13.15 3.12 0.30 2.33 1.83 5.58
スイ−トクロ−バ 1.901 355 75 14 73 39 154 18.67 3.95 0.74 3.84 2.05 8.10
シロクロ−バ 8.919 1.385 379 37 212 182 575 15.74 4.14 0.42 2.45 2.17 6.56
ラジノクロ−バ 4.317 2.331 604 73 430 323 901 17.26 4.38 0.57 3.38 2.70 6.23
アルファルファ 10.999 2.310 462 56 656 208 928 22.62 4.64 0.55 6.11 2.29 9.03
ハンズフ−トトリフォイル 9.856 1.854 352 57 468 171 806 18.52 3.70 0.60 4.12 2.13 7.97
  注) イタリアンライは1年目のもの

・ 指導参考上の注意事項
 1. 土壌条件、気象条件が著しく異なる場合は、その条件下での試験が必要である。
 2. 放牧型については更に放牧類?条件下での試験が必要である。
 3. 今後の問題として可消化成分の測定が必要である。