【普及奨励事項】
たまねぎ導入一代雑種「Autumn Pride(オ−タムプライド)」に関する試験成績
(昭和37〜46年)  北農試 作物第2部 園芸作物第2研究室  永井 信

・ 目 的
 米国で育成された一代雑種を導入して、高生産性、耐病性、高品質、高貯蔵性のものを選抜して検討してきた。近年道内の生産が増大し、それに伴って出荷期の拡大による高貯蔵性、機械的取扱に対する耐性、バラ積貯蔵適性などが要望される様になった。そのような適性をもつ一代雑種としてAutumn Prideの特性を検討し普及をはかる。

・ 試験方法
 当場における試験: 昭和37〜46年 (昭和42年は実施せず)
 現地試験: 昭和39〜46年 5地区・延22試験

・ 試験成績の概要
 1. 種子は小粒だが重く札幌黄と大差ない。容積重は非常に重い。発芽は遅い。したがって苗の生育も若干遅れる。夏期は遅くまで生育するので、葉数h多く、首部は太くなる。
 2. 耐病性は葉のボトリチス性葉枯病には強い。その他の病害はやや弱と観察。
 3. 倒伏期は札幌黄より一週間程度遅れるが、揃いはよい。
 4. 総収量は札幌黄より多かったが規格内収量はほぼ同等であった。
 5. 規格外は昭和44年産種子に二ッ玉(分球)が多発したが、他は札幌黄と同等であった。重量の揃いは非常に良い。球形は札幌黄よりもいくぶん甲高であった。
 6. 栽植密度に対する反応は札幌黄とほぼ同等であった。
 7. 貯蔵後の品質は札幌黄よりもすぐれていた。分析結果は札幌黄と大差はない。
 8. 貯蔵中の重量減は非常に少ない。また貯蔵中の腐敗や萌芽によるロスも少なかった。萌芽期は札幌黄よりも1ヶ月程度遅いようである。

・ 普及指導上の注意事項
 1. 石狩空知地方の移植栽培とし、新畑での栽培はさける。
 2. 未調整のバラ貯蔵、機械による取扱、後期出荷の場合に特徴を発揮する。
 3. 定期開始時期を3〜5日遅らせ、窒素肥料を減量して生産遅延をさける。病害防除は札幌黄よりも遅くまで続けること。

・ 主要成績の具体的デ−タ−

 生産力検定試験結果の重回帰分析、乾燥中の重量減に関する調査。貯蔵試験における、健全個数歩留の重回帰分析、貯蔵中の重量減に関する重回帰分析を組合わせた、貯蔵後収量のシュミレ−ション。