【指導参考事項】
ナガイモのポリマルチ栽培試験成績
昭和44〜46年  道南農試園芸科

・ 目 的
 高畦ポリマルチ栽培の得失と早堀り栽培における肥大効果の検討

・ 試験方法
 1. 高畦ポリマルチの効果(44年〜46年)
   高畦50cm 30cm 15cmと平畦にそれぞれポリマルチを併用
 2. 早堀り効果 (マルチ栽培) (46年)
   植付期③  4月14日 4月24日 5月4日
                             >計9区
   収穫期③  8月24日 9月10日 10月4日


・ 試験成果の概要
 初期生育における地温は晴曇のいずれにおいても常に1〜2℃高く経過する土壌水分の変化は6月においては作物の吸収が少なく、平畦、高畦30cmともポリマルチにより蒸発を除き、裸地より水分が多いが高畦50cmは毛管水があがりにくく、他の区より乾燥しやすい。しかし9月においては茎葉が繁茂し、水分吸収が多いため高畦30cm、50cmとも蒸散が大きく、多雨があると各区とも一定の土壌水分となるが、急激に減少するなど高畦の水分較差は大きい。
 ポリマルチは初期生育の促進効果が大きく、いも肥大は良好となる反面複数いもの発生が多くなり、また高畦においては生育後期の土壌水分不足から肥大は緩慢となり、平均1本重では裸地より劣る。しかし複数いもの大部分である。2子物は両方とも商品化できるものであり、収量では裸地より120〜129%の増収効果がある。
 高畦マルチは特に初期生育が良く、早堀りとして平均1本重も重く調整収量も多い。畦高は30cm以下で良い。
 以上から目標収穫期が茎葉枯凋期以後では平畦によるポリマルチが良く、8月下旬〜9月中旬収穫の早堀りでは15〜30cmの高畦によるポリマルチ栽培が良い。

・ 試験成果の具体的デ−タ−
 1. 高畦ポリマルチ効果


 2. 早堀り効果


・ 普及指導上の注意事項
 1. 切いもを使うときには、マルチング後に穴をあけ植付けることができるが、全形いもは植付後にマルチをして萌芽時にフィルムに穴をあけ茎頂部を露出するので天候によっては茎頂部が高温障害を受け、分枝発達の過程で生育遅延することがあるので露出作業は早期に実施する。
 2. 早堀りにおける植付時期は早いほど増収効果が高いが、萌芽期が晩霜以後になるよう植付ける。なお、早期の植付けはマルチ下いえども萌芽日数を多く要するので種いもは腐敗のないよう催敗のないよう催芽処理を実施する。