【指導参考事項】
キュウリの整枝法に関する試験成績
試験年次 昭和45〜46年
北農試作物第2園芸作物第2研究室
担当者  小餅 昭二・田中 征勝

・ 目 的
 北海道に於けるハウス栽培キュウリの整枝法距離と収量との関係を調べ適正な整技法と栽植距離を確立する。

・ 試験方法
 供試品種: 45年促成栽培「松のみどり」「さつきみどり」抑制栽培「亀交春秋」「さつきみどり」、46年促成「松のみどり」
 整枝法  : 放任区(A)、慣行区(B、主枝+側枝3本)、主枝1本仕立区(C)の3種
 栽植距離: 45年促成 90cm×45cm、抑制 90cm×40cm、46年促成 90cm×30・40・50cm
 距 離   : A・B区はキュウネットによるネット誘引、C区はフルコンテ−プによる蔓下げ方式とする。


・ 試験成績の概要
 1) 45年度は促成と抑制の2作型で節成性を異にするキュウリ2品種を選び、整枝法と収量との関係について検討。46年度は促成で整枝法と栽植距離について検討した。
 2) 45年の促成では、主枝、側枝別収量比較から側枝の果実生産の荷重が主枝の果実生産に対して負の影響を与え、この影響は品種で異なり節成性の高い「松のみどり」は影響が表れやすく、節成性の低い「さつきみどり」では影響の小さいことが認められた。また、この影響は主枝の30節以降に表れた。46年では主枝に対する側枝荷重の関係は前年と同じであることが認められたが、着果率が前年と異なり一般に低く、影響の表れ方も20節前後からであった。
 3) 抑制では側枝の存在が主枝の果実生産に対して影響が小さかった。
 4) 整枝法の1本仕立ては、栽植距離を狭くすることにより収量水準が増加し、初期収量増大の傾向は期待されたが、その効果は小さく蔓の誘引労力、苗立数の増加を与えると1本仕立てによる優位性は大きくないと考えられた。
 5) 放任区、慣行区での収量水準には大きな差がなく、また栽植距離間でも有意な差が認められなかった。
 6) 以上の結果、慣行整枝法では、栽植距離を40cm(200株/a)とする。しかし、病害発生の少ないハウスでは省力面から放任に近い整枝法かあるいは、栽植距離を50cm(160株/a)とし放任とすることもできる。本道のキュウリ作型に近い収穫期間が短いので長期栽培の府県のように主枝1本立てでの優位性は十分発揮できない面がある。したがって、整枝法は側枝利用を
基本とするが、1本立法を取り入れる場合は栽植距離を30cmとする。抑制栽培では促成に比し、側枝の発生数が少ないので、栽植距離40cmで放任整枝とするかあるいは、品種の草勢、ハウスの病害発生状況に応じて混み合わない程度の整枝法とする。

・ 主要成果の具体的デ−タ−
 栽植密度(株間)と整枝法別収量の時期的推移  1971.促成

・ 普及指導上の注意事項
 1) 慣行整枝法の側枝は主枝の第3〜6節位から発生した側枝のうち強健なものを3本とする。
 2) キュウリ栽培で高さの低いハウスは管理上問題があるのでより高いハウスの利用をすることが望ましい。