【指導参考事項】
1. 課題の分類
2. 課題名  草地の晩秋利用時期と翌春の収量
3. 期 間  昭和42〜46年
4. 担 当  道立天北農業試験場 土肥科
5. 予算区分
6. 協力分担

7. 目 的
 草地晩秋利用と、これに伴って起きる越冬態勢および翌春の収量への影響を検討する。

8. 試験研究方法
 供試草地   天北農試第3圃場   洪積層砂岩質
 1) 秋期の刈取り、施肥と翌春の収量(S39年造成 OG・LC・PRG・Tiの混播)
        最終刈取り時期       肥料処理(追肥量、2-4-2kg/10a)
     〔9.20・10.1、10.10、11.1〕×〔0、 −N、 −P、 −K、 3F〕
 2) 草地利用の前歴と最終刈取り時期(経年草地は39年造成、他は OG・LC)




草地年令




×




前刈取り




×




最終刈取り



初年目草地 8月 1日 9.20  10.1
2年目 〃 8月15日 10.10 10.20
経 年 〃 9月 1日 11.1  11.10
 3) 最終刈取り時期と追肥時期(S44年造成 OG・LC)




最終刈取り時期





×




追肥時期(追肥量 4-44kg/10a)
9.1   9.20 9.1   9.20

10.10 11.1 10.10 11.1 11.20
 4) OGの温度および日長に対する反応(人工気象室使用、OG品種「フロ−ド」)
     高温条件
      20℃−15℃
      LD;16hr. SD;8hr
低温条件
17℃−12℃
LD;14hr. SD;8hr
 


9. 結果の概要・要約
 1. 10月上旬を中心とする時期の刈取りは、翌春の収量を最も低下させる。
 2. 施肥によっても、上記の収量低下を補えなかった。
 3. この現象は、草地利用の前歴をとわず認められた。
 4. 翌春1番草の低下はOGにおいて明瞭に発現したが、LCでは判然しない。
 5. 翌春2番草になると、前年状の刈取りおよび施肥の影響は消滅した。
 6. OGを10月上旬に刈取ると株部および根部のDM、TACは低い水準で越冬し、また翌春1番草の出穂茎数は少なかった。
 7. いわゆる越冬態勢と称される貯蔵部割合の増大、TAC濃度の上昇は低温と短日の両条件が相俟って惹起されると推察された。
 8. 秋期の草地の現存量は10月上旬において最高値を示した。

・ 試験結果の具体的デ−タ
 秋期の最終刈取り時期と翌春の1番草収量
最終刈取り
月 日
試験年次(FM kg/10a)
43年 44年 45年
9.20 1350 1400 1720
10. 1 1430 1370 1680
10.10 1150 1070 1550
11. 1 1390 1260 1660
9.20〜11.1 1330 1330 1770

 刈取りおよび追肥時期と1番草(秋および早春追肥)
刈取り
月 日
追肥時期(FM kg/10a) 平均
9. 1 9.20 10.10 11. 1 11.20
9. 1 1830 2040 1900 1930 2020 1950
9.20   2480 2350 2370 2560 2440
10.10     1610 1480 1660 1580
11. 1       1720 1720 1720
平均 1830 2260 1950 1870 1990


 草地利用の前歴と最終刈取り時期を組合せた場合の1番草収量



 秋期牧草の現存量推移


 OG温度日長反応
  処理後
日数
日長 部位別乾物割合% TAC% 草丈
(cm)



13日後 LD 18 62 28.6 9.9 17
SD 25 43 31.3 9.8 10
32日後 LD 24 41 29.7 10.7 40
SD 24 39 26.4 10.1 28



2週後 LD 27 40 25.0 4.3 39
SD 27 47 21.7 3.9 20
5週後 LD 21 40 38.2 8.1 50
SD 28 47 53.8 15.6 24
 処理前に刈取った。

・ 奨励または指導参考事項上の注意すべき事項
 1. 晩秋時に草地を利用してもかまわない。
 2. しかし、10月上旬の利用は、翌春の再生を不良にする時間帯であり、同時に存量の最高値の時期でもある。
 3. 従って当該時期の利用は秋から春にかけての草地利用体系のなかで、この時間帯の問題は処理されていくべきである。