【指導参考事項】
草地の晩秋利用時期と翌春の収量
(昭和46年)
北農試土 草地第3研究室

・ 目 的
 越冬前の刈取り管理が翌春の牧草の再生に対する影響を検討する。

・ 試験方法
 処理:
    最終刈取り時期<A) 9月21日  (9上)
                B) 10月12日 (10中)
                C) 11月2日  (11上)
 草種:オ−チャ−ドグラス(フロ−ド) 草播(昭和45年5月15日播種)
 調査日:昭和46年5月11日(早刈り区)および6月1日(適期刈り区)
  なお、本試験は、これにさらに追肥時期を組み合わせて行った試験の一部である。(当場内試験圃場)  


・ 試験成果の概要
 1. 5月11日早春の乾物TDN・DCP収量は、ともに9下区>10中区=11上区で、9月下旬と10月中旬を境とした刈取り時期が早春の収量に大きく影響していた。その後6月1日には、乾物収量は9下区=11上区>10中区で、10月中旬刈取り区の収量低下が特徴的であった。しかし、DCP収量は刈取り時期が遅くなるほど高くなる傾向がみられ、TDN収量は3区間に有意差はなくなった。
 2. 翌春の乾物収量と越冬前の単位面積当たりの根部乾物量および炭水化物量との間には、早春では非常に高い正の相関が得られたが、適期刈りでは有意な相関は得られなかった。
 3. 越冬による牧草の株部残存率は、10中区は15%以下で、9下、11上区はともに25%以上であった。また、株部のTAC含有率と全窒素含有率との間には負の相関があった。

・ 指導上の注意事項
 1. 翌春の牧草生産を高めるためには株部のTAC量を増加させ、また、牧草体の維持(冬枯れ防止)には株部のTAC含有率を高める方向の秋期の管理(刈取り、施肥など)が必要である。
 2. いわゆる危険な時間帯については、牧草の栄養生理学的方向とともに生態的方向からの解析も必要と思われる。

・ 主要成果の具体的デ−タ

               最終刈取り時期と翌春の乾物量

 刈取り時期のちがいによる株部TAC含有率の推移     刈取り時期のちがいによる株部TAC量の推移 



   翌春の乾物収量と越冬前の株部のTAC量との関係


  残存率と越冬前の株部TAC含有率との関係