【指導参考事項】
機械利用技術の組立に関する試験
(水稲の育苗施設に関する試験)
(46〜48年)
中央 機械部

・ 目 的
 大量育苗を前提とした機械施設の体系化をはかるため、現在の機械器具について性能を把握すると共に、育苗試験を通じて、労働時間、経済性、及び運営上の問題点について検討を加えて今後の北海道における機械移植の参考資料とする。

・ 試験方法
 1. 試験場所  空知郡栗沢町字砺波
 2. 試験期日  昭和46年4月〜5月
 3. 試験区分
記号 ハウスの種類
と規模
苗種別
と数量
換気装置
の種類
灌水装置
の種類
備  考
A D型ビニ−ル
ハウス5m×20m
紐苗1ha
マット1ha
排気ファン
吸気ダクト
インパクト
G20型
ノズル
散水高さ1.5m
ハウス中央に配列
B 排気シャッタ−
吸気ファン
インパクト
シエベリア
ノズル
C 紙筒1ha 排気ファン
吸気ファン
渦巻型
ノズル
散水高さ1.8m、散水角度
を手動で調節
D
4.5m×8m
慣行苗 慣行 インパクト
エルメコ
ノッスレ
警報機による換気
E 鉄骨型ファイロ
ンハウス
紙筒1ha Bと同じ 渦巻型
ノズル
天井レ−ル
散水高さ1.8m
天井移動式
温水加温処理


・ 試験結果
 1. 土詰及び播種能率
   マット苗(セパレ−トタイプ)では8.3a/man.hrの能率で5人組作業で41.5a/hrであった。紐苗(全自動型)では9.3man.hrで7人組65a/hrであった。紙筒苗(セパレ−トタイプ)では3.9a/hrの能率で6人組作業で23.4a/hrであった。
 2. 出芽行程
   箱育苗は電熱育苗器に積重ね方式を採用、床温30℃到達時間は16時間を要し、出芽長5mmには66時間を要した。
 3. 換気の方式
   ファンによる換気は、ハウス内から強制排気シ、」ダクトによる外気の吸気方法が良かった。
 4. 灌水方式
   インパクトタイプノズル(衝突型)は低圧で散水量を多くでき、定置型であるが、散水高さによって分布むらを生じ易い。渦巻型ノズル散水は、高圧噴水で到達距離が短いため移動又は散布角度の調節を必要とし時間を要するが均一噴霧ができる。灌水用ポンプは、インパクトタイプで用水ポンプ(2〜5kg/cm2、400l/min)を利用できるが、渦巻型噴霧では動噴(40kg/cm2、60l/min)を必要とする。

・ 主要成果の具体的デ−タ
 播種作業の手順と能率(苗床設置まで)
   10a当所要
箱数/面積
作業手順
の回数
所要作業
人数
作業能率
(min/hr)
紙 筒 30筒/11m2 4 6 3.9
紐 苗 18箱/6m2 4 7 9.2
マット苗 5 5 8.0
慣 行 10a/9.9m2 3 2 31.6

 出芽中の温度条件
  加温
時間
平均
温度
(℃)
30℃到達
時間
場所
温度
(℃)
紙筒苗冷床 9日 12.2 −hr 10.4
 〃  加温 8日 22.3 −hr 12.0
紐苗出芽器 66hr 27.7 17.0 11.7
マット苗出芽器 66hr 27.5 16.0 11.1









 (D) エルメコノズル



 (E) 渦巻型ノズル

・ 普及上の問題点
 床土の準備と加工はプラント能率を左右するので計画的に行う。換気は高温時に重要であるが、換気能力が小さい時はハウスの肩すかしを行う。灌水量は大量に必要とするからあらかじめ水槽を準備する。