【指導参考事項】
融雪剤の散布効果
(その1 微粉炭燃料灰による融雪効果と散布日の決定法)
昭和44〜46年
北農試 農業気象研究室

・ 目 的
 融雪剤(グリ−ンアッシュ)の融雪促進効果とそれによる地温上昇ならびに、気象条件からみた融雪剤の好適撤布時間の決め方を明らかにしようとした。3ヶ年試験結果、融雪剤の実用性が認められ、撤布時期決定の試案を得たので各地の実用化資料に供したい。

・ 試験方法
 ①試験地−羊ヶ丘圃場  散布量(手散布)−150kg/10a、100kg/10a、50kg/10a、50kg/10(條播)、25kg/10a(條播)、
                  徹布日−3月18日または3月19日
 ②測定項目:気温、地温、積雪深、日射吸収率、日射量
 ③熱収支式に基づく融雪促進日数の計算、実測値との比較


・ 試験成果の概要
 1. 雪面の日射吸収率は散布区は80〜90%で無散布区の49〜58%に比べて日射を良く吸収した。
 2. 融雪促進日数は1969年の場合10〜12日であったが、1970年は融雪剤徹布後2回にわたり20〜30cm新雪があり、5〜7日の促進にとどまった。1971年は約5日であったが、これは無散布区の消雪が早かったためである。
 3. 地温は消雪と同時に急昇し、無散布区の地温が徹布区の地温に達するまでの期間に徹布区は積算地温で20〜30℃の増加がみられた。
 4. 徹布量は多いほど効果があるが、50kg/10a以上ではその差が少ないので実用上50kg/10a程度でよいと考えられた。
 5. 熱収支式を基に融雪促進日数を求めるための式を得た。式により計算した融雪促進日数と、実測値とはだいたい一致した。(付表参照)
 6. 式をもとに好適散布時期を考えると、散布後の新積雪がない場合は早い方がよく、10cm以上の新積雪がある場合はその最大のところで散布した方が良い。したがって最も好適な散布時期は、その地方の10cm以上の新積雪頻度を調べ、新雪頻度がなるばく少なくなる時期が望ましい。

・ 主要成果の具体的デ−タ

                      散布量
 第1図 日射吸収率(南中時)



 第2図 地温の経過(1日8回平均) 1969


 第1表 消雪所要日数及び平均減雪深
処  理 消雪日
(月・日)
融雪促進日数
(日)
消雪所要日数
(日)
日平均減雪深
(cm)
無散布 4.11 0 23 3.9
GA-50 4.1 10 13 6.9
GA-100 3.31 12 11 8.1
GA-150 3.31 12 11 8.1

 第2表 融雪後の積算地温とその増加量
  積算地温 積算期間
5cm(℃) 10cm(℃)
GA150kg区 97.7 164.7 5cm  3/31〜4/22
10cm 3/31〜5/1
無処理区 69.8 129.6 5cm 4/11〜4/22
10cm 4/11〜5/1
積算地温増加率 27.9 35.1