【指導参考事項】
古トワイン用ロ−プ編機(ツイスタ−)の改良
新得畜試 馬産科

・ 目 的
 梱包乾草利用後の古トワインが大量に廃棄されている現状からロ−プ利用を思いつき、たまたま十勝種畜牧場で考案されていたものをモデルとして省力的なロ−プ編機を改良制作しようとした。

・ 試験方法
 1. ロ−プ編機の制作  廃物利用により農家で自家制作できる簡易機を目標とした。
 2. 製品ロ−プテスト  ロ−プの強度は道立工試にて調査

・ 試験成績の概要
  Ⅰ ロ−プ編機の制作
    1. 材料  古自転車2台.古牧柵アングル6本.木材6cm×12cm×3cm.7cm×8cm×2.5cm  各1本.その
           他ボ−ルト.平鉄板.ポリパイプ等若干。
    2. 作製方法
     (1) 母機  古自転車のペダル.ギア等を組合せ木材にとりつけ、古アングルを固定脚とする、これは元糸の
             先撚りと後撚り作業を行う。
     (2) 付随機 (1)に準じ、脚部は木材が主体、後撚り作業を行う。
     (3) 巻付き防止用具  ポリパイプ加工で三叉状のもの、先端鈎状、先撚り時の絡み付き防止用がある。
     (4) 誘導用具(錘付き)  ポリパイプ加工三角形状のもの、後撚り時の誘導作用する。
     (5) 制動用具  古タイヤ切片2針金をつけたもので誘導用具の制動作用する。
     (6) 元糸巻取器  平鉄板を巻き心棒をつけ古自転車のホ−クをつけ保持器とする元糸の巻取に使う。
    3. ロ−プ編みの方法  本成績資料参照
  Ⅱ 利用成績の概要
    1. 編み取り作業の省力化が可能となった。
       モデル機種の場合は、必ず先撚りに4名、後撚りに3名以上を要するが、改良後の本機では、時間と人
       数に拘束されずにできる前作業(継結巻取)を別作業としたため、先、後撚りとも2名で編める。
    2. 古トワイン産生量とロ−プ再生量の割合
       乾草1.000tに対し約1tのロ−プ再生できる。
    3. 元糸継ぎの影響
       古トワイン製ロ−プは、新トワイン製ロ−プに比し太くなるに従い弱くなる。これはやはり継ぎ目のためと
       思われる。
    4. 製品の特性
       P・P製ロ−プは麻製ロ−プに比し軽く、強度、伸度とも大で吸収性が少ない。    

・ 成果の具体的デ−タ
 製品ロ−プの特性と強度
  表1. 製品ロ−プテスト(場内)
製品別 長さ(m) ヤ−ン数(本) 重量(g) 引張強度(kg) 伸度(%) 吸収率(%)
P・P製(ポリプロピレン) 7 9 220 1.080 15.4 10.5
麻 製(サイザル麻) 7 9 400 460 6.8 72.0

  表2. 製品ロ−プテスト(道立工試)
製品別 引張強度(kg) 伸度(%) 備  考
A− 6ヤ−ン 297.3 14 Aは古トワイン
Bは新トワイン
ヤ−ンは元糸数
なお「JISL2071麻ロ−プ」の試験法
による。
    9  〃  429.3 17
    12 〃  551.3 23
B− 6  〃 294.0 20
    9  〃 505.3 30
   12 〃  621.3 35

・ 指導参考上の注意事項
 1. 編み取り作業時の注意
  1) 1次撚りの時クランクの廻し方は必ず元糸の撚りを戻す方向にまわすこと。
  2) 2次撚り終了後の処理として、付随機でやや固めに撚りをかけた後固定するためロ−プを張って引張るか、加重処理がよい。
 2. 再生ロ−プの用途
  本機によるロ−プの長さは適宣変えられるので、頭絡はもちろんトラックの荷締め、家畜繁牧用等自家用として安易に使用できる。
 3. 本機の利用法について
  本機は各農家1戸ごとにつくるよりも町村の部落単位に設ければよく、共同利用が望ましい。