【指導参考事項】
放牧地における牛の趾間腐欄の予防治療に関する試験 (昭和45〜47年) 滝川畜産試験場 衛生科 新得畜産試験場 衛生科 |
・ 目 的
大規模草地内の入牧牛群に多発する牛の趾間腐欄の予防、治療方法の確立を目的として、その実態についての調査、ならびに一般に容易に実用し得る予防および治療法
などについて検討した。
・ 試験方法
1、実態調査
2、病因学的検討
3、治療法に関する試験
4、予防法に関する試験
・ 試験成果の概要
1、道内各地の草地における趾間腐欄の実態を調査した結果、道内全般の草地において発生があり、平均入牧頭数のおおむね10%の発生率であった。比較的若令牛に多いことも生育阻害n原因になることが考えられた。
2、細菌検査の結果コリネバクテリウム属細菌が多く検出されるが欧米において同様な症状のfootrotの原因菌とされるような細菌の検出は得られなかった。
3、3〜5%硫酸銅溶液の脚浴は治療方法としてきわめて効果があり、多頭数に行う場合簡易にして省力的であることが判った。
4、予防法として3〜5%硫酸銅溶液の脚浴は有効であったが、ヨード剤の長期経口投与も将来有効な予防法となるものと思われた。
・ 主要成果の具体的データ
表1 薬剤による治療試験(牛)
No 薬 剤 | 適用方法 | 例数 | 病状 | 治療回数 | 治療期日 | |||
範囲 | 平均 | 範囲 | 平均 | |||||
Ⅰ フラジオマインブレドニゾロン | 噴霧 | 8 | ![]() |
3〜6 | 4.5 | 7〜23 | 15.3 | |
Ⅱ クロロマイセチンヨードチンキ | 筋注塗布 | 4 | ![]() |
4〜5 | 4.3 | 9〜18 | 12.2 | |
Ⅲ 5%グリセリン加塩化第二鉄液 | 塗布 | 7 | ![]() |
3〜4 | 3.3 | 11〜18 | 13 |
処 理 | 例数 | 病 状 | 脚浴日治癒数(4日間隔) | |||||
程度 | 頭数 | 0 | 4 | 8 | 12 | 計 | ||
脚浴区 | 11 | ![]() |
2 | 2 | 1 | 1 | ||
![]() |
3 | 3 | 1 | 2 | 3 | |||
+ | 6 | 6 | 3 | 2 | 1 | 6 | ||
対照区(無) | 10 | ![]() |
2 | 2 | 0 | |||
![]() |
4 | 4 | 0 | |||||
+ | 4 | 4 | 1 | 1 |
No | 処 理 | 頭数 | 病状 | 治療日数 | |
10日 | 15日 | ||||
Ⅰ | 3%硫酸銅液脚浴単用 | 6 | + | 2 | 4 |
Ⅱ | 3%脚浴+抗生剤筋注 | 6 | + | 5 | 1 |
・ 指導参考上の注意
1、硫酸銅溶液の脚浴は予防治療法として有効と考えられるので先づ治療を主眼に置き患畜の集中管理を行うとともに治療パドック内に脚浴場を設置し3〜5%硫酸銅液の脚浴を励行することは省力的にして効果があるものと考えられる。脚欲には予め常水で洗蹄すること。槽に雨露の混入を避けるよう配慮することにより薬液効果の低下を防止することが肝要でである。脚浴槽は金属製のものは避けるべきである。