【指導参考事項】
ハイブッシュブル−ベリ−のさし木繁殖法試験 ・ 課題の分類 ・ 期 間 昭和35〜42年(北農試) 昭和38〜48年(中央農試) ・ 担 当 北農試園芸第1研 中島 二三一・西山 保直 道中央農試果樹科 渡辺 久昭・松井 文雄・峰岸 恒弥・細貝 節夫 |
・ 目 的
ハイブッシュブル−ベリ−栽培に当って、まず繁殖法が問題となるが、外国で一般に行われているさし木繁殖法について本道に適する方法を明らかにする。
・ 試験方法
圃場の定植樹より、一年枝、あるいは新梢を採取して、ピ−トモス、あるいはピ−トモスと砂などを混用した床土のさし木温床で、休眠枝ざし、縁枝ざし、を実施した。
試験は、品種間差、床土の種類、薬剤処理、さし穂の形質などについて行った。なお、温床は、よしず、寒冷沙で遮光した。
・ 結果の要約
(1) 品種間差
休眠枝ざしでは、ジャ−ジ−、ウエイマウスが比較的発根容易と認められるほか、明らかではなかった。縁枝ざしでは各品種の適期にさせば、品種間差は認められない。
(2) さし穂に対する殺菌剤処理
さし床における病害防止のために、休眠枝ざし、縁枝ざしいずれの場合も、さし穂をダイホルタン水和剤800〜1.000倍液に15分浸漬することが有効である。
(3) 発根促進剤の処理
IBA主剤のものは、休眠枝ざし、縁枝ざしいずれの場合も有効な場合が多い(年次、品種により効果のない場合もあった)。剤型としてはIBA0.5%粉剤が効果高く、使い易かった。
(4) 新梢または1年枝中の採穂部位
基部と先端部の比較では、休眠枝ざし、縁枝ざしいずれの場合も、明らかな差は認められなかった。
(5) 縁枝ざしの時期
一般には6月中旬から7月上旬が適期と思われる。品種により、また採穂部位により、更に遅く迄可能であろう。
(6) さし木用土
休眠枝ざしでは、ピ−トモスと砂の混合割合に差はなく、縁枝ざしでは火山灰にソ連産ピ−トモスを容量で2:1に混合したものが適した。
(7) 休眠枝ざしと縁枝ざしの比較
休眠枝ざしは取扱いが容易で、発根後の養成期間も短くて済むが、さし穂の大量確保に難があり、発根率も劣る。
縁枝ざしは穂の大量確保が容易で発根率も高いが、発根後の育苗期間が長い。
・ 主要成果の具体的数字
第1表 床土と品種の活着(北農試、休眠枝ざし)
床土別 | pH | 品 種 | 供試本数(本) | 活着率(%) |
泥炭+砂 5:5 |
4.9 | ル−ベル | 22 | 36.4 |
ジャ−ジ− | 18 | 61.1 | ||
デキシ− | 12 | 75.0 | ||
コンコ−ド | 5 | 80.0 | ||
泥炭+砂 7.5:2.5 |
4.7 | ル−ベル | 23 | 17.3 |
ジャ−ジ− | 15 | 40.0 | ||
デキシ− | 11 | 45.0 | ||
コンコ−ド | 5 | 80.0 |
区 別 | 供試本数 | カルス形成率(%) | 発根率 | 活着率 |
0.1% IBA粉剤 | 32 | 66.7 | 53.3 | 40.0 |
0.4% 〃 | 28 | 73.3 | 40.0 | 38.4 |
無処理 | 30 | 84.6 | 46.2 | 53.3 |
処 理 | 供試本数 | カルス形成率(%) | 発根率(%) | 新梢伸長(cm) |
無処理 | 10 | 0 | 30 | 46 |
グリセオペ−スト | 10 | 0 | 40 | 40 |
ウスプルン | 10 | 1 | 10 | 31 |
ダイホルタン | 10 | 0 | 80 | 28 |
キヤプタン | 10 | 0 | 30 | 39 |
時期(月日) | 処 理 | 供試本数 | カルス形成本数 | 発根率 |
6.15 | 無処理 | 56 | 11 | 20 |
IBA | 60 | 1 | 82 | |
6.27 | 同上 | 51 | 0 | 86 |
51 | 1 | 69 | ||
7.5 | 同上 | 54 | 7 | 56 |
54 | 4 | 59 | ||
7.18 | 同上 | 51 | 1 | 14 |
52 | 3 | 25 | ||
7.25 | 同上 | 30 | 0 | 20 |
30 | 0 | 40 |
採穂部位 | 床 土 | 供試本数 | カルス形成本数 | 発根率(%) |
基 部 | 火山砂+本道ピ−ト | 30 | 1 | 57 |
〃 +ソ連 〃 | 30 | 3 | 93 | |
〃 +フィンランド〃 | 30 | 0 | 87 | |
先 端 | 川 砂 +本道ピ−ト | 30 | 2 | 3 |
〃 +ソ連 〃 | 30 | 3 | 23 | |
〃 +フィンランド〃 | 30 | 3 | 60 |
・ 今後の問題点
(1) 接木法、取木法など、効率良い簡便な繁殖法の検討
(2) 育苗方法の検討
・ 成果の取扱い
(1) さし木温床は、よしず、寒冷沙などで遮光する。
(2) ミスト灌水が望ましく、床土を適湿に保つこと。
(3) さし穂が土壌菌類などでおかされているものは直ちに抜き捨てる。