【指導参考事項】
1. 研究課題名  直播栽培における発芽促進(CaO2)に関する試験
2. 期 間  昭和49年
3. 担 当  北見農試 普通作物科  藤村 稔彦・柳川 忠男

4. 目 的
 CaO2(カルパ−)の種子粉衣が直播水稲の発芽・苗立におよぼす効果を検討する。

5. 試験研究方法
 1. 圃場試験
  播種量2.0l/a点播 代掻2時間後(5月18日)、24時間後(5月19日)、48時間後(5月20日)播種、CaO225%粉衣および無粉衣、CaO2粉衣区のみヒドロキシイソサゾ−ル(タチガレン粉)0、2、3、4%粉衣
 2. ポット試験
  直径35cm深さ12cmのポリ桶使用1区100粒散播、代掻直後24時間後播種(共に9月18日)CaO225%粉衣および無粉衣、CaO2粉衣区のみヒドロイソキサゾ−ル(タチガレン)0、2、4%粉衣
 供試品種  両試験共にきたこがね

6. 結果の概要・要約
 ○ 圃場試験:代掻2時間後播種でも籾の被泥は殆どなかった。発芽に処理区間差はなく発芽率も高かった。1株苗立数は粉衣区が無粉衣より少なかったが、これは粉衣による籾の容積増加で播種粒数が減少したためと考えられる。苗の生育状況は各区間に差が認められなかった。このように区間差が無かったのは被泥が無かったためCaO2の効果が発揮されなかったものと考えられる。なおCaO2粉衣による薬害は認められなかった。
 ○ ポット試験:代掻直後播種で1〜2mmの被泥が認められたが24時間後では被泥は極くわずかであった。発芽期は代掻直後播種区が1日遅れた。苗立率は被泥の少ない区が、また粉衣処理についてみるとCaO2粉衣区が高かった。ヒドロキシイソサゾ−ル粉衣の効果は認められなかった。苗腐敗の発生は無処理区で多く、代掻直後播種で増加した。苗の生育状況には各区間の差は認められなかった。
 ○ 水稲湛水直播栽培の発芽苗立に対するCaO2粉衣の効果は籾の被泥を前提とすべきで、被泥が無ければ効果は期待できない。また薬害の恐れはないものと思われる。
 籾の被泥が生じた場合、無処理では苗立率、良苗率の低下が大きく、苗腐敗も多くなるがCaO2粉衣によって無被泥、無処理区程度にまで苗立率の向上が期待できる。

7. 主要成果の具体的数字
      圃場試験 良苗率および葉数            ポット試験 良苗率および苗腐敗被害率