【普及奨励事項】
・課題の分類  ×−a 941−1
・場名名  農林省北海道農試作物第二部特用作物第2研究室
・新品種候補系統名  はつか「北系J16号」
・来歴
 昭和43年に、農林省北海道農業試験場において、安定多収・連作向き品種「あやなみ」の染色体倍加系統「あやなみ四倍体」を母とし、ニホンハツカ系の高脳分・高収油率系統「北系J10号」を父として人工交配を行い、実生を養成して選抜をかさね、昭和46年より「北系J16号」の系統名で、生産力や特性の検定をしてきたものである。

・特性
 開花始は9月9日前後で中生種の晩に属し、さび病の抵抗が強く、耐倒状性や耐線虫性(ピンセンチュウ)は中程度で、高脳分品種としては種根量が多い。
 生草種は従来品種よりも多く、極高収油率で「わせなみ」程度なので、収油量は「あやなみ」に比べて20%前後、「わせなみ」に比べると5%前後の増収が見込まれる。取卸油の総メント−ル含量は81.5%前後で。高脳分品種に属し、採脳率は「あやなみ」や「わせなみ」より6〜8%高い。脳油の品質は一般に良好で、とくにはつか脳ははつかゴム膏用の好評である。

・試験成績
 生産力検定試験成績 (昭和46〜49)
 生育調査
品種名 草丈
(cm)
分枝数
(数)
葉数
(枚)
開花始
(月日)
被害 種根量
(kg/m2)
さび病 倒状
あやなみ 92 33 567 9. 2 0 0 1.47
わせなみ 87 35 955 8. 30 0 0.2 1.19
北系J16号 91 33 597 9. 0 0 1.7 1.27

 収量調査 (単位:10a)
品種名 生草重
(kg)
油重
(kg)
割合
(%)
収油率
(%)
採脳率
(%)
メント−ル
化合(%) 遊離(%)
あやなみ 3.340 14.92 100 0.45 47 4.9 70.6
わせなみ 3.840 17.14 115 0.45 49 3.7 73.7
北系J16号 4.020 17.95 120 0.45 55 4.6 77.0


・配布しうる種根量  8t
・採用予定地  北海道
・栽培適地と普及見込面積
 「北系J16号」は、中性種の晩で、中性の早の「あやなみ」に比較して多収・高脳分なので、収穫期間の延長による収穫機や蒸留施設の効率的利用などの面から、早生種の晩の「わせなみ」を主要品種とし、はつかの主作地帯では「あやなみ」に置き換て、「北系J16号」を30〜40%作付することが望まれる。普及見込面積は300〜400ha。

・栽培上の注意
 耐倒状性が中程度なので、多肥栽培は避けたほうがよい。なお、はつか油は化合メント−ル(主としてメンチルアセテ−ト)が多いので、施光度が高く薬局方の規格外となることがあるので、集荷・加工には注意を要する。