施設園芸に関する試験
 寒地におけるや菜の育苗培地改善試験
               果菜一般 育苗
               北海道、道南農試
Ⅱ 混合培地育苗試験
期   間 昭和47〜49年
予算区分 総合助成
1.担 当 園芸科 高橋総夫、今野 寛、沢田 一夫

2.目 的
 慣行床土に代る培地として、もみがらくん炭、あるいは生もみがらを基材として泥炭を混合し、均質、軽量で、造成労力も少ない良質育苗培地を得ようとする。このため混合割合、施肥等による植生対応を調査して、その実用化をはかる。

3.試験方法
 (1)育苗培地実用化試験(土壌肥料担当)
   混合培地の理化学性と苗の給肥特性を検討
 (2)混合培地育苗試験(園芸科)
   トマト、ナス、キュウリの混合培地による鉢育苗について、慣行床土を対照として苗質を検討し、トマト、キュウリでは定植し、収量との関連も調査した。

4.結果および考察
 (1)トマトの育苗調査
 ア、育苗中の生育では、若干の停滞が見られる場合もあるが、単材よりは一般的に良好となった。
 イ、苗の活着性、定植時培地表面を覆土する(深植え)ことによって、問題とならない。
 ウ、苗の素質、茎葉重/茎長指数によって、形態的な基準を得ようとしたが、収量との関連は明確でなく、苗素質判定基準は得られなかった。しかし栽培条件によっては、かなり妥当性があるものと考えられた。
   花芽分化に及ぼす影響は殆どなく、慣行床土と同様であった。
   泥炭単材で異常を認めるものもあるが、混合によって改善された。
 エ、収量性では混合培地が、慣行床土と同等かややまさった。
 オ、混合培地として苗素質、収量性の高いものは、もみがらくん炭と泥炭の混合培地では、スパグナム・ビート3〜5割混合、道産ビートモス5割混合培地があげられる。生もみがらとの混合培地では道産ビートモスを7〜5割混合であった。
 (2)キュウリの育苗調査
 ア、トマトより泥炭混合培地の生育伸長が早く、ややもすれば徒長化を招き易い。
 イ、施肥窒素形態の差は若干硝安区がまさる傾向があった。
 ウ、混合培地苗の収量性は高く、それは多く側技を発生するためであった。しかし一般作型品種で検討を要する。
 (3)ナスの育苗調査
 ア、苗質、収量性の検討不十分であるため保留する。
 (4)使用基準
  以上の結果と理化学性、施肥部門との結果から下記の基準が得られた。

作物 基材 混材
もみがらくん炭 生もみがら 泥炭 スパグナム・ビート
トマト 70〜50 30〜50
50〜30 50〜70
キュウリ 70〜50 30〜50
50 50
50 50

5.主要な試験データー

 トマトの混合培地育苗試験

第1図 移植後の茎長推移 および定植後の伸長倍率(49年)

第2図 苗素質と収量(49年)

第3図 茎葉重/茎長と全収量(48年)

第4図 茎長の推移、伸長倍率

第5図 収量、個数、重量

6.今後の問題点
 寒地の作型における、果菜類の苗素質、鉢育苗における地温の保持方法、湛液育苗の再検討

7.成果の取扱い(普及指導上の注意事項)
 鉢育苗を本法によって始めて行う時は、特に鉢地温の保持に注意して行うこと。
 鉢スペースを十分に保ち、徒長しないよう注意する。