【普及奨励事項】

北育64号の特性概要

1. 特性一覧表                             道立北見農業試験場
系統名:北育64号 組合せ:北斗×上育272号


長所
1.良質
2.耐冷
3.早熟で田植機移植にも適す。
欠点
1.短稈
2.高温年に少肥で少収
普及地帯および
普及見込面積
網走、十勝、上川北部、留萌北部およびこれに類似の地帯 8,000ha
品種名
/ 形質
北育64号 比較きたこがね 比較かちほなみ 比較しおかり
早晩性 中生の早 中生の中 中生の晩 晩生の早
草 型 穂数 偏穂数 穂数 偏穂数
出穂期 7月30日 8月1日 8月5日 8月6日
成熟期 9月14日 9月12日 9月22日 9月20日
稈 長 59cm 59㎝ 69㎝ 72㎝
穂 長 13.7cm 15.6cm 13.8cm 14.2㎝
穂 数 24.5本 22.0本 25.5本 20.0本
芒 性 極稀・極短 中・中 中・中
ふ先色 黄白 黄白 黄白 黄白
脱粒性
耐倒伏性 稍強 稍弱
葉いもち抵抗性 稍強
穂いもち低抗性 稍弱 稍強 稍強
障害型耐冷性 稍強 稍強
遅延型耐冷性 稍弱
a当り玄米重 41.0(46.7)Kg 42.8(49.4)Kg 48.0(48.7)Kg 40.4(42.0)Kg
玄米千粒重 19.1g 21.4g 18.9g 18.6g
玄米品質 上下(3下) 中上上(4限) 中下上(5上下) 中上上(4下)
食 味 中〜稍良 稍否 稍良
調査地 北見農業試験場
調査年次 昭和48年〜51年の4ケ年(成苗、標肥栽培)
品種候補名 未定
  注) 上育272号:北海182号(ユ−カラ)×農林15号
   玄米重の( )内は多肥区。 遅い延型耐冷性は北海道農試稲1研50年度の結果

2. 北育64号の特記すべき特徴
 玄米品質が対象地域に栽培されている品種に比べて良好で、刈り遅れによる品質低下 も少ない。
障害型耐冷性は「はやゆき」には劣るが「きたこがね」より強く、いもち病抵抗性も「きたこがね」より強く中程度で、各特性に大きい欠点がなく栽培が容易である。

3. 道東、道北およびこれに類似地帯で奨励品種に採用する理由
 道東、道北地域でも田植機の普及は著るしく、田植機移植栽培にも適する早熟、良質、耐冷品種が少ないため、止むなく熟期のおそい品種が作付けされている実態である。「かちほなみ」は品質に難があり耐倒伏性も劣り、「きたこがね」は刈り遅れによる錺米発生などの欠点があり、「しおかり」は晩熟で機械移植栽培に不安がある。また、これら地域では奨励品種以外の雑多な品種の作付けもかなりあって、産米品質の低下も問題となっている。「北育64号」をこれら地域の問題のある雑多な品種におきかえて、収量の安定と産米の品質向上をはかる。