【普及奨励事項】
                                 加工トマト 品種
                                 北海道中央農試
        加工トマトの新品種に関する試験
                「交1号」
期  間  昭和38〜51年
予算区分  指定試験(系適試験)
協力・分担  富良野農改・有珠農改

1.担  当  北農試作物第2部園芸第2研 中央農試園芸部花きそ菜科

2.目  的  早熟多収品種の育成

3.試験方法
 北農試 昭和38年から43年にわたり、19品種、15組合せのなかから「ウルバナ」×「フアイヤボール」のF1を選抜し、「交1号」とした。
 中央農試 昭和44年ふら51年にわたり「交1号」の特性調査と生産力検定試験を行った。
 北海製缶㈱缶詰研究所 昭和48年から50年にかけて「交1号」の生産力検定試験を行った。
 現地試験 富良野地区農改(昭49〜50年)有珠地区農改(昭51年)の2ケ所で「交1号」の現地生産力検定を行った。

4.結果および考察
 「交1号」の特性概要
(1)植物体、苗の生育は「ウルバ」なみの強い草勢を示し、定植後も生育は良好である。は種から開花までの日数では「ウルバナ」より4〜5日早く、ほぼ「フアイヤボール」なみである。芯止り性は強いほうで、早期の着果が良好である。開張度「ウルバナ」と「フアイヤボール」のほぼ中間型を示すが、リーフカバーは良いほうである。初収穫は「ファイヤボール」なみか、1日ほど遅れるが、「ウルバナ」より7〜8日は早い。
(2)耐病性 特に耐病性はもたない。
(3)収量性 着果が早期から安定しているので前期収量が高く、枯葉期が遅いため後期の収量も落ちず多収である。早生種のため低温年でも未熟果が少ないが、やや圃場での腐敗が多い。
(4)果 実 1果重は100g前後で中果種である。果実外観は良好で、堅さ、果肉色、糖度と果実形質は「ウルバナ」なみである。裂果は初期では少ないが、後期になると「ウルバナ」よりやや多めとなる。
(5)総じて中果種であるが早熟多収であり、特に前期収量が最も高い品種である。

5.主要な試験データ

検定結果                                            (a当り)平均値
試験
場所
系統品種 試験年度 は種より
開花まで
前期
収量
全期
収量
前/全期 1果重 腐敗
果率
裂果発生
程度
糖度
北農試 交1号 昭39〜44 72.9日 147㎏ 547㎏ 30.0% 94g 21.5%    
フアイヤボール 72.2 123 359 37.5 85 30.5    
ウルバナ 77.2 65 503 11.8 99 14.6    

試験場所 系統品種 試験年度 収穫始 前期
収量
全期
収量
前/全期 1果重 腐敗
果率
裂果発生
程度
糖度
中央農試 交1号 昭43〜51 (51年)
8.10
173kg 820kg 21.1% 107g 18.1% 25.0% 4.5%
フアイヤボール 10 179 617 29.0 87 15.6 14.6 4.5
ウルバナ 17 75 658 11.4 114 15.4 11.6 4.6
北海製缶
㈱研究所
交1号 49〜50 8.15 102 301 33.9 115 44.0 32.1  
フアイヤボール 48〜50 15 218 676 32.2 86 9.9 47.2  
ウルバナ   15 119 425 28.0 123 35.8 55.7  
有珠地区
農改
交1号 51 8.24 69 505 13.7 103 20.9    
のぞみ2号
松永交配
24 67 441 15.2 118 17.5    
114号 12 73 730 10.0 81 10.2    
富良野地
区農改
交1号 50 8.8 67 355 18.8 77      
ウルバナ 8 61 153   81      
  注 前期収量 収穫全期間の前1/3

特性表
北農試(42年)
品種\項目 第1花房 被覆度 果の
大きさ
葉の
大きさ
葉縁 葉色 夏疫 炭疽 摘要
開花期 花数 果数 着果率
交1号 6月17日 8.5 4.3 51.0 欠刻  
フアイヤボール   13 8.8 1.9 21.6 やや滑 淡緑  
ウルバナ   19 8.5 1.8 21.2 欠刻 やや強  

中央農試(51年)
品種\項目 苗の
生育
生育 着果性 リーフ
カバー
熟期 収量 果実 形質 摘要
前期 全期 1果重 外観 堅さ 肉色 糖度 障害果 裂果 フハイ
交1号 2 2 1 2 1 1 1 2 2 2 2 2 1 3 3 対照品種
「ウルバナ」
に対し
1.優れている
2.同程度
3.劣っている
フアイヤボール 2 3 1 3 1 1 3 3 2 2 2 2 2 3 2
ウルバナ 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2

6.今後の問題点

7.指導上の注意事項
 (1)特に耐病性を持っていないので育苗後半から病害の防除に注意する