【指導参考事項】
1. 課題の分類 畑作(機械) 2. 研究課題 少量散布機の開発と防除に関する試験 3. 期 間 昭和50〜51年 4. 担 当 十勝農試農業機械科 5. 予算区分 6. 協力分担 (北植防、清里・富良野普及所) |
7. 目 的
畑作物の防除作業能率は水の運搬法に支配される。畑作地帯では水の供給源に恵れないため適期作業が困難であり、時には河川から直接取水して公害問題も派生している。少量散布機10/1の水量で足りるのでこれからの問題点を解済できる。畑作用の少量散布機を開発し、この実用化をはかる。
8. 試験研究方法
1) 供試機 型式TLV−361
2) 場所および散布量
試験 番号 |
年次 | 作物別 | 防除対象 | 散布量 (L/10a) |
散布 回数 |
一区 面積 |
試験場所 | 試験協力機関 |
1 | 50 | 馬鈴しょ | 病害虫 | 6.2 | 7 | 22a | 士幌町 | 北海道植物防疫協会 |
2 | 50 | てん菜 | 〃 | 6.2 | 4 | 15 | 〃 | 〃 |
3 | 51 | 〃 | 害虫 | 10.0 | 2 | 26 | 〃 | 〃 |
4 | 51 | 馬鈴しょ | 病害虫 | 8.0 | 6 | 100 | 清里町 | 斜網東部地区農業改良普及所 |
5 | 51 | 玉ねぎ | 〃 | 16.0 | 12 | 36 | 富良野市 | 富良野地区農業改良普及所 |
6 | 51 | 馬鈴しょ | 枯凋剤 | 10.0 | 2回散布 | 60 | 七幌町 | |
7 | 51 | 小豆 | 除草剤 | 10.20.40 | 1 | 3.3 | 十勝農試 | |
8 | 51 | 小麦 | 雪腐防止 | 10.0 | 1 | 30 | 芽室町 | 試験継続中 |
9. 結果の概要
1) 少量散布機は直装型で35ps級以上で作業が可能である。
2) 噴霧は霧吹きの原理で風圧で行う有気噴射であり、高圧ポンプは用いない。
3) 50年度、散布水量6L/10aで防除したが、馬鈴しょの疫病は慣行散布とほぼ同様であったが、アブラムシは少量散布区が寄生数と寄生株数と寄生株数とも少なかった。
4) 50年度、てん菜の褐斑病は慣行散布に対して防除効果は高く、ヨトウガの被害は慣行散布とほぼ同じであった。
5) 玉ねぎ白斑葉枯し病多発期に降水量が少なく、このため病害は全般に少なかった。茎葉枯凋期は慣行散布に対して2日早かったが収量構成は同じであった。
6) 枯凋剤レグロックス300g/10aを午前、午後の重複散布を行ったが、慣行散布との差はみられない。−ばれいしょの茎葉処理−
7) 除草剤アレチット500g/10aを用い土壌処理を行った結果、雑草の発生状況は慣行散布区に対して10L散布区で約あ50%、20L散布区で約36%、40L散布区で約10%の増加がみられた。土壌処理については10L
/10aは気象条件によっては可能であっても、一般的には無理とみられる。ノズルの中子を交換することによって必要量(たとえば40L/10a)を1工程で散布できる構造とすることが望まれる。
10. 主要成果の具体的数字
図2. 噴霧量
散布量
散布分布状態
噴霧経路
区 | 散布法 | 供試薬剤名 | 10a当り投下薬量 |
1 | 少量散布 | オルトラン水和剤+スズH水和剤 | 100g+600g |
2 | 〃 | オルトラン水和剤+ダコニール水和剤 | 100g+167g |
3 | 〃 | スズH水和剤 | 100g |
4 | 慣行散布 | オルトラン水和剤+スズH水和剤 | 100g+100g |
区 | 7月30日 | 8月13日 | 8月28日 | 9月8日 | 9月26日 |
1 | 0 | 0 | 0.25 | 0.50 | 1.25 |
2 | 0 | 0 | 3.25 | 3.50 | 1.50 |
3 | 0 | 0 | 0.75 | 0.50 | 2.50 |
4 | 0 | 0 | 0 | 0.25 | 1.50 |
区 | 7月30日 | 8月13日 | 8月28日 | 9月8日 | 9月26日 |
1 | 0 | 2.00 | 4.2 | 0.60 | 20.00 |
2 | 0 | 4.20 | 2.0 | 4.00 | 37.80 |
3 | 0 | 2.60 | 2.2 | 0.20 | 24.40 |
4 | 0 | 2.20 | 8.20 | 8.60 | 41.40 |
少量散布 | 慣行散布 | |||||
総重 | 生葉残量 | 枯凋割合 | 総重 | 生葉残量 | 枯凋割合 | |
葉部 | 3950g | 0g | 100% | 3950g | 0g | 100% |
葉部 | 13630 | 600 | 95.6 | 13110 | 550 | 95.8 |
作業速度 (m/sea) |
面積 (ha) |
作業時間 | 作業能率 | ||||||
散布 | 回行 | 走行 | 潅水 | 調整 | 合計 | ha/hr | hr/ha | ||
1.2 | 6.8 | 1°50'00'' | 5'00'' | 32'35'' | 27'28'' | 8'50'' | 3°03'53'' | 2.22 | 4.50 |
(59.8) | (2.7) | (17.7) | (14.9) | (4.9) | (100.0) |
作業速度 (m/sea) |
面積 (ha) |
作業時間 | 作業能率 | ||||||
散布 | 回行 | 走行 | 潅水 | 調整 | 合計 | ha/hr | hr/ha | ||
1.2 | 14.8 | 4°00'00'' | 11'30'' | 32'35'' | 35'00'' | 8'50'' | 5°27'15'' | 2.71 | 3.69 |
(73.2) | (3.4) | (10.0) | (10.7) | (2.7) | (100.0) |
11. 使用上の注意
1) 有気噴射のための従来のスプレーヤに比較するとドリフトが多い。ノズル位置を適正に保つことに留意すること。
2) ノズル間隔を66㎝に固定しているが、畦巾が極端に異なる場合はこれに合わせる必要がある。
3) てん菜等葉面に附着しやすいものについては多少散布量を多くすることが無難である。