【指導参考事項】
1. 課題の分類  5-(3) 収穫(野菜)
2. 研究課題  タマネギの収穫運搬作業の省力化に関する研究
           −茎葉付タマネギ拾上機の開発と改良−
3. 期 間  昭和50年〜51年
4. 担 当  北海道農試機械化第2研究室
5. 予算区分  別  枠
6. 協力分担  なし
7. 目 的
 定置タッピング収穫方式の体系を確立するため、茎葉付の地干しタマネギの拾上げを主眼とした拾上機を完成させる。
8. 試験研究方法
 (1) 機械の改良方針:前年度開発した拾上機を全面的に改善し、茎葉付だけでなく、茎葉処理したタマネギの拾上げも可能な形に改める。トラクタ−(45PS級)けん引型で、コンテナ(900㎏入)をのせる簡単なリフト装置を採用し、あわせてタマネギ゙の落下損傷防止を図るため、緩衝装置を装備させる。
 (2) 機械の作業性能:地干列にしたタマネギの茎葉の有無別の作業精度と作業能率を求める。材料は品種「札幌黄」の直播タマネギ(表−1)地干列の大きさは人手で堀取ってタッピングし6条分(列間隔1.8m)、茎葉付はD式堀取機(MDD−1250)で2行程(4条堀×2行程)分である。
9. 結果の概要・要約
 1. 試作機の構造と諸元(図1)
  茎葉処理したタマネギの拾上げに際して、茎葉片の混入物を取り除くために引き込みロ−ラを配したが、後方のエレベ−タパッケト先端と地上問隙が小さいので、地上に落とした茎葉片をかき上げるのが認められ、また、降雨などで土が湿ると引き込みロ−ラに茎葉と土砂が絡み付くなどの問題があった。土が乾いた条件では問題はなかった。茎葉付の場合は問題はない。緩衝装置宇亜コンテナリフトの作動は良好と認められた。
 2. 作業性能(表1〜3)
  あらかじめ茎葉処理をして(人力)地千列にしたタマネギは4〜5日経過しており、外鱗皮が乾きすぎのため0.4〜1.1%の剥皮(皮むけ)を生じた。損傷は作業速度の影響は顕著でなく1.1〜0.9%生じた。エレベ−タ−幅が700mmと狭いため流量は毎時13〜14トン前後が限界である。
  作業能率は圃場の大きさとコンテナ補給の形(予め配慮しておくか、運搬車と連けい)で異なるが毎時14.0ア−ルと設計段階の予想15ア−ルよりも若干下廻った。主な理由はタマネギの出来が良く、10ア−ルあたり約6.5トンの多収圃場であったことと、コンテナの交換に全体の約25%の時間を要したからであって、コンテナ運搬車との組合せで作業を行なう必要がある。
10. 主要成果の具体的デ−タ

               図1. 試作機の概要
 
表1. 作物条件および圃場条件




茎葉の有無
品種 「札幌黄」 (直播) (直播)
10ア−ル当り収量 6317kg
水分 (%)    茎 葉 73.0
外鱗皮 48.7 54.0
ウインドロ− (cm)の大きさ 52.5 55.0
12.0 13.5
地千列間隔 (m) 1.7 2.5



土壌水分 (%) 22.3 24.9
硬 度 (kg/cm2) 7.3 7.3
圃場区画 (m) 9×150 16×100
圃場面積 (a) 13.5 16.0


 表2. 作業精度             (玉数%)

No. 1 2 3 4 5
茎葉の有無
作業速度 (m/s) 0.23 0.26 0.44 0.16 0.23
有効作業量 (a/hr) 14.7 16.6 28.2 13.7 19.9
毎時流量 (t) 9.2 10.2 18.5 8.4 12.9

果 
損傷 (%) 1.1 1.1 0.9 1.0 0.8
剥皮 (%) 1.1 0.4 0.4 0.0 0.0
計  (%) 2.2 1.5 1.3 1.0 0.8


 表3. 作業能率(茎葉無)

項 目 測定結果
作業幅 (m) 1.7
作業速度 (m/s) 0.35
作業人数 (名) 2
圃場区画 (m) 9×150(13.5a)
圃場作業量 (a/hr) 14.0
有効作業量 (a/hr) 21.7
圃場作業効率 (%) 64.7
燃料消費量 1.2L/hr
拾上げのべ労力 1.43hr/10a

  コンテナ(900kg入)配置を更に1名見込むとのべ労力は2.14hr/10aとなる。

11. 研究上の残された問題点
 (1) 緩衝装置の操作を油圧によって行なわせる。
 (2) タマネギ充填量をオペレ−タが検知できるようにする。
12. 次年度継続の有無     なし