【指導参考事項】
農家における採卵鶏の損耗と生産性に関する実態
(昭和48〜50年) 滝川畜試 家きん科.衛生科
目 的
鶏の育すう場および採卵農家における育成率.生産性の推移および損耗実態を調査し、対応策を検討する。
調査方法
Ⅰ 道内の農協系育すう場の実態調査……………………………9カ所
Ⅱ 農家における生産性と損耗
1.育すう場が異なる採卵農家の実態……………………………4カ所(延10戸)
2.育すう場が同一の採卵農家の実態……………………………2戸
3.同一育成鶏の3地域における生産性……………………………3戸
成果の概要
1.昭和44〜45年において低位に推移した育成率はマレツクワクチンの接種、主要飼養鶏種の変更により、大巾に改善され47年には約95%を示した。
2.採卵農家における産卵率は15ヵ月の産卵期間で75〜79%と良好な成績を示した。また残存率は産卵後期に淘汰が集中し58〜63%であったが修正残存率では85〜90%を示した。
3.採卵農家におけるへい死・淘汰の内訳では、脱肛・カンニバリズム・事故死などが半数以上を占め、疾病としては、マレック氏病が減少し、腹膜炎とブドウ球菌症もみられたが、疾病発生状況から育すう場および農家の衛生管理はほぼ良好と考えられた。
4.鶏の生産性の地域差を調査したところ残存率に差があったが、ヘンハウス産卵率による比較では地域差はほとんど認められなかった。鶏種の差は残存率.産卵率において明らかであった。
主要成果の具体的データー
表 育成率の推移 %
44年 | 45年 | 46年 | 47年 | ||||||||
前期 | 後期 | 年 | 前期 | 後期 | 年 | 前期 | 後期 | 年 | 前期 | 後期 | 年 |
86.4± 10.9 |
85.6± 9.7 |
86.1± 10.2 |
88.2± 7.8 |
89.0± 8.1 |
88.6± 7.9 |
91.7± 7.5 |
92.2± 4.1 |
91.9± 6.0 |
95.3± 3.1 |
95.9± 2.8 |
95.6± 3.0 |
表 農家における生産性
項目 | 48.8〜12導入 | 49.2〜5導入 | 49.2〜5導入 | 50.3導入 | ||||||||
(注1) 前期 |
(注2) 後期 |
(注3) 全期 |
前期 | 後期 | 全期 | 前期 | 後期 | 全期 | 前期 | 後期 | 全期 | |
残存率(%) | 90.6 | 70.4 | 63.8 | 93.1 | 64.5 | 59.9 | 82.1 | 69.1 | 58.3 | 96.3 | 65.2 | 62.5 |
(注4) 修正残存率(%) |
95.4 | 88.0 | 86.9 | 97.0 | 80.8 | 86.2 | 93.4 | 88.1 | 81.9 | 96.9 | 92.0 | 92.6 |
産卵率(%) | 79.5 | 7.11 | 75.2 | 82.8 | 73.7 | 78.5 | 78.8 | 74.6 | 76.6 | 81.1 | 72.5 | 76.9 |
普及指導上の注意事項
1.鶏種選定においては同一鶏種であっても毎年同じ能力を示すとは限らないので、鶏種の能力を常に把握して導入し、能力が十分発揮できるような飼養管理が望ましい。
2.現行の衛生プログラム(ワクチネーション、消毒、予防薬剤の使用等)の忠実な履行が望まれる
3.鶏の能力の向上や動物薬の使用制限が強められる情勢において、損耗防止および飼養管理の合理化をはかる上で、オールイン・オールアウト方式の採用が望ましい。
今後の問題点
1.鶏群の能力向上に伴って現われる障害(破卵・肝破裂・脱肛等)の究明
2.慢性疾病による損耗の実態把握とその対策
3.飼料添加剤の規制により損耗の増加が予想されるので、現行の飼養・衛午管理技術の再検討