【指導参考事項】

北海道における採卵鶏の経済能力の実態について(第Ⅱ報)
(昭和40〜    )                                滝川畜試家きん科

目  的
 北海道鶏経済能力検定は、農家がひなを購入する場合の指針を得ること、およびふ卵場が取扱い銘柄の能力を検討する場として実施しているが、この成績は道内採卵鶏の能力をある程度集約しているものと評価されるので、過去3回の成績をとりまとめ報告する。

試験方法
 実施規定により毎年4月から500日間、同一条件により飼養し、各群50羽づつ5〜7群の主要形質・経済性について調査した。
 育成期0〜150日令、成鶏期151〜500日令とし、飼養管理方法は、当場慣行法により実施した。

試験成果の概要
 過去3回18群と、3系統5ケ年について主要形質、経済性について検討した結果は次のとおりである。
 1.育成率、生存率ともに前回より上昇し、育成率は殆ど100%に達した。
 2.産卵率、産卵指数(ヘンハウス)、飼料要求率など収益との相関の高い形質も前回と比べて大巾に上昇した。
 3.3カ年18群の総合成績、3系統5カ年の総合成績から、各形質、経済性などに明らかに系統間の差が認められた。
 4.卵質については系統間の差は明確でないが、高能力鶏の卵殻はやや薄ら傾向を示した。
 5.第1報の場合と比べてマレツク氏病等白血病群による損耗は減少したが、近年肝臓障害の発生がやや増加する兆候がある。

主要成果の具体的データー

1.3カ年18群の成績の総括
形質 平均値 標準偏差 変動係数
生存率 93.19% 6.01 6.45%
産卵率 75.50% 4.98 6.59
要求率 2.54 0.09 3.57
初産日令 15.81日 6.8 4.27
育成率 99.11% 1.41 1.42
卵重 60.43g 1.82 2.99
産卵指数 256.01ヶ 20.19 7.89
体重 1953.17g 154.31 7.90
育成費 741.00 96.62 13.04
収益 703.61 163.86 23.29

2.3系統主要形質の年次間の分散分析有意差検定
形質 系統 F 平均値 SD CV
    %
生存率
B 0.748 84.0 22.7 27.0
H.N 92.2 13.0 14.4
ZP 90.8 8.03 8.8
    %
産卵率
B  ※※
20.826
74.6b 2.3 3.02
H.N 70.0b 2.5 3.52
ZP 81.1a 3.4 4.13
C.E B  NS
1.776
2.49 0.06 2.32
H.N 2.60 0.11 4.04
ZP 2.59 0.13 5.01
卵重 B  ※※
12.618
61.4a 1.06 1.72
H.N 58.0b 1.21 2.07
ZP 57.9b 1.47 2.54
ヘンハウス B  NS
3.420
255 11 4.19
H.N 238 12 4.95
ZP 271 26 9.59
   円
収益
B  ※※
7.360
841a 97 11.56
H.N 551b 149 27.13
ZP 769b 74 9.56

今後の問題点
 1.育成率、生存率の上昇はワクチンの開発、各種抗菌剤の飼料えの添加にたよるものと考えられる。来年以降添加剤の使用制限が行われるので新しい衛生プログラムの確立が望まれる。

普及指導上の注意事項
 1.一般採卵農家の水準より本成績の方がおおむね上位にある。
 2.今回一部系統名を初めて記号で明らかにしたが、指導普及にあたって道内養鶏界の社会的経済的背景を十分考慮し、番号を用いるが、または抹消すること。