【指導参考事項】
1. 課題の分類
2. 試験課題名:  複合強化プラスチック製牧柵の利用試験
3. 期 間:  昭50〜51
4. 担 当:  道改良課、北農試、根釧農試、新得畜試
5. 予算区分:
6. 協力分担:

7. 目 的:
  廃棄物再生利用による複合強化プラスチック柱(以下P注と略す)の実用性を検討する。エステルワイヤ−利用の可能性を検討する。

8. 試験方法:
 1) P柱の衝撃強さ、曲げ強さ、曲げ破壊荷重、たわみ量等の特性調査
 2) P柱の打込み、架線の取付作業調査
 3) P柱の燃料試験
 4) 降雪、融雪圧に対する適応性の調査
 5) 越冬後の補修作業
 6) 放牧利用における調査

9. 試験方法:
 1 P柱は天然木材に近い性質をもつほか、耐水性、機械加工性など木材では得られない特性をもつことがわかった。
 2 P柱は筒型打込機により直接地中に打込むことができる。また架線の取付けは割りピンを使用し容易にできた。
 3 燃料試験では2〜3分で黒く焦げ変色したが、熔融せず変形も認められなっかた。
 4 雪なだれ、車等による折損事故以外破損は認められなっかた。積雪、凍土による支柱の沈下、浮上等は従来のL型網支柱より少なかった。エステルワイヤ−は伸びが大きく、物理的な力にも弱く架線としての使用は不適と考えられた。
 5 架線の補修は割りピン方式を採用したので作業時間が短縮できた。
 6 放牧牛脱柵事故はなかったが観察の結果から支柱間隔は4m〜6mが適当と考えられた。

10. 主要成果の具体的数値:
 1) P柱の特性
項 目 試験規格 P柱 杉材  
曲げの強さ JIS Z 211 350 kg/cm2 500
密度 JIS Z−2102 1.041.06 g/cm3 0.40.5 g/cm3
圧縮の強さ JIS Z 211 380 kg/cm2 250
機械加工性 DIC法
衝撃の強さ (23℃) JIS Z−2116 9.0 kg/cm2        
   〃  (−30℃) 8.9 kg/cm2         


   常 温 0℃ −20℃
曲げ破壊荷重 kg 598 488 736 560 738 533
たわみ量 mm 11.0 17.0 9.0 16.5 11.5 11.5
曲げヤング率 kg/cm2 25.500 25.500 30.700 30.200 30.100 31.600


 2) 打込み作業
  北海道農試 新得畜試 八木牧場 根釧農試 北出牧場
地形 傾斜地15〜20° やや傾斜 平 坦 やや傾斜出入地 傾 斜
地盤 石礫を含む普通土 軟弱な普通土 普通土 軟弱火山灰 普通土
打込深 60cm 40cm 60cm 60cm 60cm
本柱打 チャンチャン12kg
込回数 18〜26回 7〜10回 7〜10回 4〜8回 8〜12回
1人1時間当
打込本数
11〜13本 13〜15本 13〜15本 15〜17本 13〜15本


 3) エステルワイヤ−、架線、有刺鉄線の緊張力と支柱間隔
支柱間隔/
段数と間隔
4mSpan 8mSpan 10mSpan 12mSpan
1段エステル線30cm 5.6 kg 30.0 kg 10.4 kg 7.6 kg
2段  〃    〃 4.8 26.5 15.2 17.6
3段バラ線   〃  4.4 52.0 54.4 44.0
4段丸鉄線   20 8.4 45.0 50.8 52.0
5段  〃    30 22.0 39.2 42.4 50.8

11. 今後の問題点:
 1. P柱素材の特性を生かしたコ−ナ柱、門扉等の開発
 2. エステルワイヤ−を利用した牧柵用ネットフェンスの開発

12. 成果の取扱い:
 1) 牧柵設置に当って直線部分の長い場合は50cm間隔ごとに丈夫な本柱を入れることにより丈夫な牧柵ができる。
 2) 曲り角、雪なだれが予想箇所は別な資材を使用する。