【指導参考事項】
研究課題名  サイレ−ジ用とうもろこし品種「JX162」に関する試験成績
期間  昭和49〜51
担当  北農試草地開発第2部 上川農業試験場 道南農業試験場

目的
  北海道における外国品種の適応性を検討し、育種上の参考資料とし更に、準奨励品種として普及指導上の資料とする。

来歴
  アメリカJacques社の育成種である。育成年次は1970年、交配様式は単交配で細胞質雄性不稔は使われていない。

特性の概要
  北海道農試(月寒)における3ヶ年の試験結果から「JX162」の特性を要約するとおおよそ次の通りである。
① 絹糸抽出期は「交8号」より2日遅く、「ジャイアンツ」より2日早い中生種である。「交8号」の過去11年間の平均抽出期は8月16日で、本年の強度な旱魃を考慮すれば「JX162」の早晩性は「交8号」と同程度と思われる。
② 稈長は「交8号」よりやや低く、着雄穂高も低い。
③ 病害については「交8号」「ジャイアンツ」に比較して、ゴマ葉枯病・ススモン病、双方とも強い方である。
④ 倒状・折損は若干認められるが「交8号」「ジャイアンツ」と比較すると強い。
⑤ 総乾物重に占る子実重割合が高く、又、茎葉の緑度保持期間が長く、茎葉乾物収量も比較的高い。従って栄養収量が高く、TDN収量で「交8号」に10%程度まさる。

主要な具体的デ−タ
 JX162に関する試験成績
品種名 試験場所 試験
年次
生草 標準比 乾物 標準比 TDN 標準比 生総重中
のTDN比
交8号 ジャイ
アンツ
交8号 ジャイ
アンツ
交8号 ジャイ
アンツ
JX162    昭年 kg/a % % kg/a % % kg/a % % %
北海道農試 4951 622 98 89 163 102 96 116 104 97 18.6
上川農試 5051 595 101 153 114 108 119 18.2
道南農試 5051 640 88 181 100 130 102 20.1
平 均     100 89   108 98   112 100  
交8号 北海道農試 4951 635 100 91 160 100 95 112 100 93 17.6
上川農試 5051 589 100 134 100 91 100 15.6
平 均     100     100     100    
ジャイアンツ 北海道農試 4951 698 110 100 169 106 100 120 107 100 17.2
道南農試 5051 728   100 181   100 127   100 17.4
平 均          100       100       100   
W573 北海道農試 4951 614 97 88 153 96 91 109 97 91 17.8
道南農試 51 539 66 155 82 115 86 21.2

適応地帯
  種苗需給事情の緊急性に鑑み既従の「交8号」「ジャイアンツ」を補填し、「W573」に代る品種として、道央・道南地方の全域、及び上川の比較的条件の良い地帯を中心とし「交8号」の適応地域に準ずる。

栽培上の注意
  普及、栽培上の注意事項としては、一般的なとうもろこしの栽培基準による。