【指導参考事項】
根釧地方の地帯別土壌養分と牧草の無機組織に関する実態調査 (昭和48〜50年) 根釧農試 土壌肥料科 |
目 的
根釧地方における土壌の無機養分および牧草体内成分の実態を知る。
調査方法
・調査地点 根室管内(61か所) 釧路管内(66か所)
(但し、根室市、羅臼町、釧路市、釧路村を除く)
・対象草地 標準的栽培を行っているチモシ−主体採草地
・調査期間 73年(6月28日〜7月6日)
75年(6月23日〜7月1日)いずれも1番刈取り適期
・調査項目 土壌:断面調査、置換性塩基(K2O、CaO、MgO、Na2O)、有効態りん酸(N/5 HCL可溶)、易還元性 Mn(0.2%ハイドロキノン含有 中性N−CH3COONH4可溶)、可給態Zn.Cu(N/10HCL可溶)など
牧草:N、P、K、Ca、Mg、Na、Mn、Fe、Zn、Cu、Co
成果の概要
根釧管内を作土(30cm)構成火山灰の特性に基づき3地域に区分し、土壌および牧草体の無機成分の実態を比較検討した。地域区分は、最表 のMe−aを除き、腐植含量が少なく、りん吸の低いKm−1a、−2a、(−4a)を主体とする内陸地域(Ⅰ)と腐植含量が多い、りん吸の高い矢臼別、Km−f、Ma−fを主体とする沿海地域(Ⅲ)およびKm−2a、矢臼別などを混在する中間地域(Ⅱ)である。
1. 土壌中の無機成分含量は全般的特徴として、低カリ土壌(ex−K2O10mg未満)65%、低苦土土壌(ex−MgO10mg)49%、低りん酸土壌(u/5HCL可溶、15mg未満)35%を占め、Mn、Cu、Znでも低含量土壌が多く認められた。
2. 土壌中有効りん酸はりん吸と、各塩基、微量各成分は腐植含量と相関があり、地域間差が認められた。
3. 牧草体無機成分の地域間差はP、K、Naなどで認められたが、土壌養分含量ほど明らかではなかった。
4. 土壌中養分含量と牧草体内成分との関連はP、Kで高い有意相関を示し、Ca、Mg、Znはマメ科でCuはイネ科で有意な相関が認められた。
5. 土壌中養分の多少は牧草体内成分ばかりでなく、収量にも明らかに影響しており、牧草の量および質的向上のため、土壌養分環境の改善が必要と考えられる。
主要成果の具体的デ−タ
土壌の無機養分等の分析結果 (0〜10cm)
PH | T−C % |
N−CH3COONH4(PH−4) | 易還元 性Mh |
0.1N−Hcl | 0.2N−Hc P2O5 |
リン吸 | |||||
K2O | CaO | MgO | Na2O | Zn | Cu | ||||||
平均値 | 6.0 | 5.8 | 10.2 | 212 | 11.6 | 5.0 | 35.8 | 4.2 | 0.49 | 22.8 | 1610 |
地域 | P2O5 15mg |
K2O 10mg |
CaO 100mg |
MgO 10mg |
Mn | Zn 3ppm |
Cu | |
20ppm | 40ppm | 0.5ppm | ||||||
全体 | 35 | 65 | 10 | 49 | 18 | 68 | 25 | 75 |
Ⅰ | 0 | 100 | 15 | 77 | 50 | 92 | 35 | 73 |
Ⅱ | 15 | 55 | 5 | 70 | 5 | 75 | 25 | 80 |
Ⅲ | 58 | 64 | 6 | 36 | 10 | 60 | 18 | 92 |
Ⅳ | 74 |
イネ科 | N 1.59 |
P 0.25 |
K 1.71 |
Ca 0.32 |
Mg 0.11 |
Na 0.03 |
Mn 53 |
Fe 39 |
Zn 22 |
Cu 3.4 |
Co 0.05 |
Ca/P 1.3 |
マメ科 | 3.34 | 0.29 | 1.54 | 1.95 | 0.28 | 0.22 | 63 | 63 | 27 | 4.7 | 0.11 | 6.9 |
普及指導上の注意事項
本調査は根釧地方における各地域の標準的な地点を対象としたもので、地形、草地造成法(特に表土の取扱い)、管理来歴などの著しく異なる条件のとこるは含まない。