{指導参考事項】
施設野菜の周年栽培体系確立試験 イチゴ作型・栽培一般
イチゴの短日育苗夏秋どり栽培試験 道南農試
(3)多年株に関する試験
期 間 昭和51〜53年 予算区分 道単 協力・分担 なし
1.担 当 園芸科 今野寛・高橋総夫
2.目 的 (1)のとおり
3.試験方法
1.短日処理法 (1)に準ずる
2.試験区別
A 処理時期と株当立芽数(51年)
時期 | 立芽数と1芽葉数 | 処理日数 | ※8時間日長 | ||
6月14日 | × | 1−5 | × | 21日 | ※宝交早生(半促成収穫終了株) |
7月7日 | 1−3 | 28日 | ※3芽3葉区は6月14日のみ | ||
2−3 | ※苗床N無施用 | ||||
3−3 |
B 株当立芽数と苗床栽植密度(52年)
立芽数と1芽葉数 | 苗床密度 | ※8時間日長 28日処理 | |
2−4 | ※処理時期6月20日 | ||
−5 | ※宝交早生(半促成収穫終了株) | ||
3−3 | × | 15㎝×15㎝ | ※苗床N無施用 |
−4 | 15 ×10 | ||
4−2 | |||
−3 |
4.結果および考察
A 処理時期と株当立芽数
出蕾直後から芽えそ症状の株が激発し収量調査不可能となった。
短日処理中の平均遭遇温度は6月区の14.2℃〜15.1℃に比し7月区は19.O℃〜19.4℃と5℃程度高く経過した。処理時期による出蕾株率は6月区が21日処理でも各区100%出蕾をみたのに対し、7月区は28日処理では100%であるが21日処理ではやや低率であり、又出蕾速度も遅れた。
1芽立における葉数間では出蕾株率に差はみられないが出蕾速度は5葉区が早かった。2〜3芽立では全芽出蕾しない株が若干あり、又それぞれの株内でもっとも早い出蕾を対象にしても1芽立より出蕾速度が遅れるなど、複数芽仕立における花成能力の低下がみられた。
このことは短日処理時の各腋芽の新クラウンが1芽立より軽く、芽の充実度合によるものと考えられる。複数芽における遅れは出蕾始、開花始ともに、その最たるもので6月区は4日、7月区は7日の差であり、大勢として支障がないと考えられるので立芽数を多くして花房数増加を図ることが得策であり、処理時期は半促成収穫直後でも良いと考えられる。
B 株当立芽数と苗床栽植密度
出蕾速度は立芽数や芽当葉数間に一定の傾向はみられないが苗床密度では密植区が早い傾向がみられた。花房数は立芽数の多い区が当然多く出現し、苗床密度では粗植区が多出した。
収量は3芽4葉の粗植区がもっとも高収を示し、次いで4芽3葉の粗植区と1株葉数の多い区が高水準を示したが要因としては立芽数の多いほど、苗床密度の広いほど高収傾向があり、芽当の葉数間では2芽立以外では葉数の多い区が高収傾向にあった。収量増加には花房数確保のため立芽数を多くする必要があるが4芽仕立は移植・定植作業に不便であり、実用的芽数は3芽程度が良く、芽当葉数は4葉程度が良いと考えられる。密植は株における出蕾速度は早いが各腋芽における能率は劣り出現花房数が少なくなるなど悪影響がみられるので44本/㎡以下の粗植にすべきと考えられる。
5.主要な試験データー
A試験 短日処理時期と株当立芽数
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B試験 株当立芽数と苗床栽植密度
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6.今後の問題点 ①根群の発達促進