【指導参考事項】
イチゴ 作型・栽培一般
道 南 農 試
施設野菜の周年栽培体系確立試験
イチゴの短日育苗夏秋どり栽培試験
(4)越冬子株(仮称)に関する試験
期 間 昭和51年〜53年 予算区分 道単 協力・分担 なし
1.担 当 園芸科今野寛・高橋総夫
2.目 的 (1)のとおり
3.試験方法
1.短日処理法 (1)に準ずる
2.試験区別
A 苗の大きさと短日処理時期(51年〜53年)
51年=10月20日移植時3葉苗×処理時期5月25日・6月14日×処理日数21日・28日−苗床無肥料
52年=9月10日移植時4葉・2葉苗×処理時期5月20日・6月5日・6月20日
−処理日数28日−苗床NPK 1.5kg/a
融雪後追肥N 0.25kg/a
(宝交早生 8時間日長 春に枯葉、花房を摘除 短日処理日に断根)
B 短日処理時における断根の花成補助効果(51年〜53年)
51年=処理時期5月25日×断根・無処理×融雪直後N追肥量0×処理日数21日・28日
52年= 〃 5月20日・6月20日×断根・無処理× 〃 0.5・0.25・0× 〃 21日・28日
(宝交早生 8時間日長 春に枯葉、花房を摘除 短日処理日に断根 苗床肥料は51年度NPK 1kg/a
52年度NPK 1.5kg/a施用 苗は51年8月1日3葉苗 52年9月10日2葉苗)
4.結果および考察
A 苗の大きさと短日処理時期
出蕾株率は5月区、6月区とも21日処理では低率であり、28日処理において70日以内にほとんど出蕾した。出蕾速度は2ケ年とも花成環境の強い5月区が遅れていた。処理時期が遅いほど苗は充実しており、ために6月区は花成感応が強く旦つ花成後の高温条件も花房発育に促進的に関与しているものと考えられた。花房数は処理時期による差は僅差であるが各時期ともに個体によるバラツキが極めて大きい。複数の腋花房間に葉がみられず2本立〜4本立の出現形態を示す株が多くみられ、多本立の株は処理時期の早い区(花成環境が強い)に多く出現する傾向がみられた。又多本立の株は第2次腋芽の無い腋芽があり、全く第2次腋芽の無い株も若干みられた。なおこれら花房は同時に複数で出現することなく5日〜7日差で出現するし着果数も多く正常に収穫可能であった。
収量は処理時期が遅いほど平均1果重がまさるため高収となり、又6月20日区におけるハウス栽培はろ地に比し平均1果重はやや劣るがクズ果が少なくなるこ、とや収穫期間の延長などで120%の高収であり、6月下旬処理段階からは生育後期のビニール被覆が有利と考えられた。短日処理時期によって収量水準は変動するが、越冬子株を利用することによって、従来良品質品種で生産できなかった夏〜秋生産が可能である。苗の大きさについては処理時の苗素質に大きな差がみられたが出現花房数は大苗の花成効果が劣るのかあるいは座止したのか不明であるが差がみられず又収量も同水準であり小苗でも利用価値は高いと考えられる。
(現在、苗の大きさを8段階で試験中)
B 短日処理時におけ断根の花成補助効果
断根は出蕾速度を早める効果はみられたが、充実の劣る苗においては出蕾株率に影響がみられ、又充実の良い苗においても収穫果数の減少など悪影響がみられる。越冬子株利用の場合は短日処理時期が比較的低温経過(花成環境が強い)の時期でもあり、断根の必要性は無いと考えられる。なお融雪直後のN追肥は処理時の苗素質、その後の生育や収量性に大きな効果がみられ、前年秋の苗床施肥量にもよると思われるが、1.5kg/a程度の場合は0.5kg/a追肥が良いと考えられる。
5.主要な試験データー
A試験 苗の大きさと短日処理時期
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粒大別果数率(%)
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B試験 短日処理時における断根の花成補助効果 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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6.今後の問題点
①1果重の増大および収量率の向上
②着色程度と輸送性
③高温期のマルチ資材