【指導参考事項】
1.課題の分類  病害・野菜
2.研究課題名  ハウスきゅうりの菌核病防除技術確立試験
         (野菜の菌核病防除技術確立試験)
3.期  間   (昭49〜53年)
4.担  当   道南農試病虫予察科
5.予算区分   道 単
6.協力分担

7.目 的
 ハウス栽培におけるきゅうりの菌核病の発生生態を明らかにするとともに防除法を確立する。

8.試験研究方法
 (1)ハウス内における発生消長調査
 (2)感染機作に関する調査
 (3)菌核の子のう盤に関する調査
 (4)ハウス内被覆による発病抑制効果の検討
 (5)薬剤防除効果の検討

9.結果の概要、要約
  (1)ハウスきゅうりの1年2作型栽培(促成、抑制)における菌核病の発生は、春(5〜7月)と秋(10〜11月)の2回見られた。
 (2)発病部位は花弁(♂、♀)、葉、節、巻づる、茎などで、花弁、葉の発病が早かった。また花弁は開花して間もない花よりも7〜8日経過した花の発病が早い。
 (3)発病は子のう胞子飛散処理ハウスが多く、菌核接触処理ハウスは少なかった。したがってハウス栽培きゅうりの感染、発病は、子のう胞子感染が主体と思われる。なお子のう盤発芽後8〜10日ころから発病か認められる。
 (4)また子のう盤の土中からの発芽深度は、地表下1㎝以内が55%占め、これより深くなるに従って減少した。
 (5)きゅうりの定植直後ハウス内をビニールフイルム又はポリエチレンフイルムで、全面被覆することによって発病を薬剤散布とほぼ同程度に軽減することができた。これは子のう胞子の飛散が抑制されたためと推定できる。
 (6)ハウス内全面被覆に薬剤散布を併用すると、全面被覆のみに比べてまさった。なお散布薬剤はヘテロサイクリックイミド系水和剤(50%)、アイプロデェオン水和剤(50%)、チオハアネートメチル水和剤(70%)などが有効である。

10.主要成果の具体的数字
1)子のう盤発芽消長 (S50)

注①定植期、②子のう盤発芽、③葉に発病、④節に発病、⑤巻づるに発病、⑥花弁(幼果)に発生、等を示す。

2)発芽消長 (S49)

3)子のう胞子感染と菌核接触感染の比較 (S52)

4)ハウス内被覆による発病抑制効果 (S52)
年次別項目 昭 和 5 1 年 全体株率
(%)
昭  和 5 2 年
部位別病株率 (%) 部位別病株率 (%) 全体株率
(%)
区 別 巻づる 巻づる 花弁(幼果)
被覆区 17 20 17 27 17 5 2 1 3 16
無被覆区 50 73 52 75 84 57 68 36 38 98

区別 部位別 葉(%) 節(%) 巻づる(%) 花弁(%) 茎(%) 全体株数(%)
被覆区 17 5 2 1 3 27
薬剤散布区 9 2 5 4 0 20
無被覆区 84 57 68 36 38 98

11.今後の問題点
 周年栽培での発生生態の解明

12.次年度の計画(成果の取扱い)
 ハウス内の被覆は完全にすること。