【指導参考事項】
1.課題の分類  豚 管理
2.研究課題名  寒地における豚舎の汚水処理の実態と処理技術
3.期  間   昭和45〜52年
4.担  当   滝川畜試・飼養科
5.予算区分  道費・受託
6.協力分担  農林水産省・畜試

7.目 的
 豚舎から排出されるふん尿・汚水の寒地に適した処理技術を確立する

8.試験研究方法
(1)北海道における農業地帯別および養豚経営形態別での豚のふん尿処理の実態
(2)北海道における豚舎汚水の簡易浄化処理方法の実態
(3)北海道における豚舎汚水の高級処理法の実態

9.結果の概要・要約
 (1)農業の地帯別では都市近郊・水田地帯での尿汚水処理については問題点が多い。経営形態別では大規模'な一貫経営や肥育専業経営での尿汚水処理に問題点が残されている。
 (2)豚舎汚水の簡易処理については、夏期間の浄化効率は、期待できるが、冬期間は物理的な効果しか示さなかった。
 (3)道内に設置されている豚舎汚水の高級処理法については、寒冷積雪対策を施せば、十分な浄化効率を示したが、不完全なものでは装置全体が凍結して使用不能となった。
 (4)処理施設の寒冷積雪対策としては、小屋がけし、一部に加温器具を導入することが有効であった。また、装置の全体または半分を地下に埋没しても効果が認められたが、完全なものではなかった。

10.主要成果の具体的数字
(1) 毛管礫式汚水浄化装置 (滝川畜試)
年度
季節
分析
回数
水温(℃) 透視度 PH SS (PPm) BOD (PPm)
投入水 放流水 投入水 放流水 投入水 放流水 投入水 放流水 投入水 放流水
49夏 18 14.6 13.9 5.4 19.4 7.5 7.2 146 64 358 34
49冬 11 6.7 7.3 5.2 19.2 7.4 7.2 152 84 294 24
50夏 10 15.1 15.0 4.4 17.7 7.7 7.1 254 38 408 36
50冬 11 6.4 6.5 2.4 9.4 7.5 7.1 309 92 844 22
51夏 12 13.8 14.0 3.0 9.3 7.5 7.0 368 57 269 18
51冬 11 5.5 7.0 2.8 7.5 7.6 7.7 515 54 536 37
52夏 10 13.9 13.5 3.3 10.0 7.4 7.0 252 65 326 20
52冬 9 6.9 4.4 4.4 14.1 7.4 7.0 198 44 328 16
(2) 酸化藩法汚水浄化装置 (滝川畜試)
49夏 18 15.1 16.3 2.0 8.0 8.1 7.7 1,406 70 1,001 55
49冬 13 6.0 7.0 2.2 5.0 8.1 8.0 755 147 1,505 62
50夏 6 16.4 17.3 3.6 9.7 7.6 6.8 303 175 1,440 65
50冬 13 5.2 6.2 3.7 9.0 7.8 6.8 101 129 942 23
51夏 12 14.0 15.0 3.8 9.8 7.6 6.5 159 79 678 25
51冬 12 6.3 6.8 3.5 9.2 7.7 6.7 152 63 475 33
52夏 12 16.4 16.0 4.1 9.8 7.6 6.5 113 60 452 30
52冬 12 7.2 5.9 3.5 7.6 7.8 7.4 156 67 587 75

11.今後の問題点
 (1)生汚泥・余剰汚泥の処分方法(特に冬期間)の検討
 (2)消毒液の汚水処理施設への混入防止対策
 (3)汚水処理施設の寒冷・積雪の対策
 (4)ふん尿分離の豚舎構造と機械化の検討
 (5)汚水処理施設と経済性の検討

12.成果の取扱い
 (1)豚のふんと敷料・尿汚水は土地還元を原則とするが、それが不可能なところでは、ふんは堆肥化し、尿汚水のみの処理施設を考えること。
 (2)北海道における尿汚水の処理方法としては、高級処理にしなければなら'ない。汚水処理方式の選定にあたっては、各経営体の飼養規模、地形、放流先などを考慮すること。
 (3)汚水処理施設の寒冷対策としては、最低限、凍結しないような方法が必要である。