【指導参考事項】
1.課題の分類  鶏
2.研究課題名  鶏ふんの発酵処理に関する試験
3.期   間  昭和49〜52年
4.担   当  滝川畜試種畜部・家きん科
5.予算区分
6.協力分担  公害防止研究所

7.目 的
 鶏ふんに各種添加物を加えて発酵処理を行い、鶏ふんの物理性を改善し、土地還元を容易にする。

8.試験研究方法
 1.添加物の種類と添加割合
 2.発酵処理による成分の変化
 3.攪拌搬送時に発生するアンモニアの拡散

9.結果の概要・要約
 1.鶏ふんの発酵処理に当って、モミガラ・オカクズは好適な材料であり、それぞれ単一でも処理が可能であるが、両者を半量づつ使用すれば発酵の状態が良い。
 2.鶏ふんと添加物の混合割合は重量比で80:20、もしくは85:15が適当である。添加物は容積重小さく、収容に大きな施設を必要とする。そのため添加割合は少ない方が良いが、その場合は切り返しの頻度を高める必要がある。
 3.発酵処理鶏ふん中の成分は、原料の鶏ふんによって左右されるが、一般に窒素が揮散するため燐酸、カリの割合が高くなる。
 4.発酵処理時に発生する悪臭成分のほとんどはアンモニアで、切返し時に発生するアンモニアは、発酵槽から20mで最高、1.2PPMであった。

10.主要成果の具体的数字
 1)添加物の混合割合と処理鶏ふんの性状 ・成分 (49年12月調製)
調 製 方 法 処 理 ふ ん の 成 分 (原物中)
鶏ふん
 :添加物
鶏ふん
添加物

水分
%
総重量
回収率
%
水分
%
PH T-N
%
T-P2O5
%
T-K2O
%
T-CaO
%
90:10 540 60 600 70.5 398 66.2 68.0 8.50 0.56 1.23 0.87 1.42
85:15 467 83 550 67.5 388 70.4 65.5 8.90 0.54 0.92 0.79 1.19
80:20 360 90 450 64.8 305 67.8 58.8 8.95 0.60 0.92 0.78 1.13
70:30 280 120 400 59.2 276 69.1 58.5 8.88 0.56 0.81 0.66 1.20

 2)発酵中の温度変化

 3)攪拌した場合に発生するアンモニアの経時変化 風速1〜2m/s (PPM)
発酵槽からの距離 1時間後 2時間後 3時間後 4時間後
20m 0.85 1.10 0.75 0.30
50m 0.40 0.25 0.15 0.05

11.今後の問題点
 1)添加物として、パーク.ペーパースランジなどの適応性
 2)各種作物への利用方法

12.成果の取扱い
 1)鶏ふん中の水分の多い時期は混合割合を多くする。
 2)アンモニアの拡散は少ないが、悪臭の被害が心配される地域では、攪拌時に散水するなどの工夫をするとよい。