1.課題の分類 栽培 牧草 2.研究課題名 有珠山噴火に伴う降灰による農作物被害および対策に関する試験調査 7.降灰による草地の被害実態を更新対策試験降灰草地における更新対策試験 3.期間 昭和52〜53年 4.担当 道立中央農試畜産部 5.予算区分 総合助成 6.協力分担 |
7.目的
有珠山噴火に伴う降灰による草地の更新にさいし、牧草の秋季における播種時期の越冬性および生産性に対する影響を検討する。
8.試験研究方法
1)試験場所 伊達市志門気
2)試験圃前歴 オーチャードグラスとアルファルファの5年目草地1番草採草後に化成肥料(N7.2-P2O5 5.4-K2O 7.2kg/10a)追肥
降灰の深々 約20cm
3)試験圃の造成
(1)堆厩肥 約2t/10aを耕起前に散布
(2)耕起 9月3日(耕深)
(3)基肥 N2-P2O5 10-K2O 9.5kg/10a
(4)整地 ロータリーハロー
(5)鎮圧 足による踏みつけ
(6)播種
(7)覆土および鎮圧 レーキ(人力)、踏みつけ
4)供試草地
(1)チモシー(センポク) 1.0kg/10a
アルファルファ(デュプュイ、ノーキュウライド種子) 1.0
(2)オーチャードグラス(ヘイキング) 2.0
アルファルファ(同上) 1.0
5)播種期 9月5日、16日、26日、10月6日
6)試験区の配置 主区に草種組合せ、副区に播種期を配した3反復分割試験区法、1区16.8㎡
7)翌年の追肥 早春、N4.5-P2O58.25-K2O8.25、1番刈後および2番刈後、N1.5-P2O52.75-K2O2.75
9.結果の概要
1)幼植物の越冬性は播種時期が遅れるに従って低下し、オーチャードグラス区では両構成草種ともチモシー区におけるよりも低下が著しかった。
2)翌年の草牧量についても播種時期が遅れるに従い低下傾向が認められ、アルファルファは9月下旬播種区が底になる傾向が両混播区ともに認められた。これは降雨不足による発芽および立毛定着の不良から立毛数が少なくなったことが主な理由として考えられる。
3)一般にチモシー区はオーチャードグラス区よりも草収量が多かったが、草種構成の推移からみてチモシー区はオーチャードグラス区よりもアルファルファ優勢に傾くであろうと推察される。
4)10月上旬播種においてもオーチャードグラスは603kg/10a、チモシー区は891kg/10aの風乾草量が得られたので、降灰草地の更新時期が10月上旬に遅延しても、当年の気象条件下では実用的な草地の確立が可能であった。
10.主要成果の具体的数字
調査 項目 |
播種期 | オーチャードグラス/アルファルファ | チモシー/アルファルファ | ||
OG | A | T | A | ||
越冬後 個体数本/㎡ ( )は 越冬率 |
月 日 9-上 |
% 513(115) |
% 164(60) |
% 822(92) |
% 213(79) |
-中 | 277(77) | 64(26) | 935(110) | 151(81) | |
-下 | 144(25) | 16(15) | 379(43) | 25(57) | |
10-上 | 62(16) | 37(9) | 769(72) | 47(21) | |
年間合計 風乾重量 kg/10a ( )は合計 |
9-上 | 596 | 586(1182) | 795 | 790(1585) |
-中 | 572 | 370(942) | 861 | 477(1338) | |
-下 | 470 | 140(610) | 622 | 248(870) | |
10-上 | 301 | 302(603) | 512 | 379(891) |
11.今後の問題点
12.成果の取扱い
越冬前の気象条件が比較的に良好であったために10月上旬播種でも一応の成功が得られたけれども厳しい気象条件に遭遇することも考慮しなければならない。播種時期が早い程良い結果を得ることができる。