【指導参考事項】
1 課題の分類  水稲 冷害
2 研究課題名  昭和55年冷害における防風網の効果
3 期   間  昭和55年
4 担   当  中央農試 稲作部 圃場管理科
5 予算区分  総 助
6 協力分担  

7 目  的
 昭和51年冷害の時、南空知地方では、防風林など季節風をさえぎるものの風下では、水稲の被害が比較的軽い
例が多かった。北海道農試農業気象研究室では、昭和53年に「防風施設の冷害気象改善効果」について指導参考
事項となった。冷害年(昭和55年)における防風網設置の効果について検証する。

8 試験研究方法
 試験Ⅰ 育苗型式と防風効果
苗の区別 育苗形式
稚 苗 箱マット
中 苗 簡易マット、型枠、紙筒
成 苗 成苗ポット

供試品種:イシカリ
供試土壌:亜泥炭土
移植期:5月26日
防風網撤去:9月13日

試験Ⅱ 栽培と防風効果
供試品種 イシカリ  移植期 5月26日 4反覆
処  理  防風網  有、無
        苗    成苗ポット、簡易マット中苗
       栽植密度 密植(26〜28株/㎡)粗植(19〜20株)
9 結果の概要、要約
 ・試験は防風網の高さの3〜5倍の地点、すなわち防風効果の最もあらわれやすい地点で調査された。
 ・防風網の効果は、初期生育の促進として顕著にあらわれ、この生育促進が出穂期の促進につながった。
 ・その促進効果は苗の種類、栽植条件の違いよりも大きい場合が多く、冷害安定技術として、きわめて高い
効果を示した。
 ・しかし、生育促進効果にもかかわらず、南空知地方の中生種品種の稚苗移植栽培では、防風をしても、出穂安全限界内に出穂させることは困難であり、中苗以上の苗質をもった機械移植栽培が必要と思われた。
10 主要成果の具体的数字

図1 無防風対比乾物重(1ヶ月)


図2 成苗ポット対比乾物重(1ヶ月)


図3 出穂期に対する防風効果


図4 登熟歩合、玄米重の無防風区に対する比

11 普及指導上の注意事項