【普及奨励事項】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　アスパラガス　遺伝育種
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　北海道農業試験場
　　　アスパラガス「優勢系統」に関する試験
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　北海道農試　作二部
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中央農試園芸部
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　道南農試

1.期　　間　　昭和44〜55年

2.協力分担　　北大農学部
　　　　　　　　　北海製缶缶詰研
　　　　　　　　　道アスパラガス協会

3.目　　的
　導入品種「Marry Washington500W」と同等以上の品質、収量を示す品種を育成し、国内自給種子の生産を図る。

4.育成経過
　1)アスパラガスのような多年生の作物では、長年月にわたって高い生産力を維持した株は、遺伝的にも優良であるとの前提の下で、道内の古いアスパラガス産地8市町村で優良株の選抜を行った。
　2)15〜20年以上を経た農家ほ場を選び昭和44〜45年の生育期に一次選抜を実施、それぞれの翌春萌芽期に二次選抜を実施した。
　3)両年の合計約2,500株を選抜し、選抜株のクラウンの一部を掘り取り採種用の母株とした。
　4)母株植付け前に大きな株は2〜3分割し、雄約2,000株、雌約4,500株とし採種ほ場に植付け昭和46年より集団採種し「優勢系統」と名付けた。
　5)「優勢系統」は一般栽培用に配布するとともに試験機関で「MW500W」との比較試験を実施した。

5.系統の特性
　1)萌芽の早晩性　　「MW500W」と同程度で早生に属する。
　2)若茎の性状　　若茎の太さ、緑色度はいずれも「MW500W」と同程度で中位、頭部のしまり、形は「MW500W」と同様で良。
　3)収量性　　「MW500W」と同程度かやや勝る。

6.配布可能種子量　　56年度　30kg　57年度以降　40kg

7.普及見込面積　　現在1000ha
　　　　　　　　　　　　　57年以降　毎年60〜80ha(ホワイト換算)

8.主要な試験データ
　1)試験3場所における年次別規格内若茎収量比較(a当り換算)

系 統 名	年 次	北農試			中央農試			道南農試			平均
		重量 (kg)	茎数	1本茎重 (g)	重量 (kg)	茎数	1本茎重 (g)	重量 (kg)	茎数	1本茎重 (g)	重量 (kg)	茎数	1本茎重 (g)
優 勢 系 統	52	6.9	380	18.1	23.4	1,354	17.2	12.4	631	19.6	14.2	788	18.3
	53	19.8	1,009	19.6	26.5	1,646	16.1	22.6	1,108	20.4	23.0	1254	18.8
	54	33.7	1,750	19.2	37.5	2,250	16.7	44.2	2,215	20.0	38.5	2072	18.9
	55	33.4	1,602	20.8	40.9	2,437	16.8	34.6	1,775	19.5	36.3	1938	19.3
	計	93.8	4,711	19.8	128.3	7,687	16.7	113.8	5,729	19.9	112.0	6042	19.0
	対比	120	119	102	98	102	96	111	101	110	111	108	103
MW 500 W	52	8.6	417	20.6	25.5	1,437	17.8	13.8	762	18.1	16.0	872	18.7
	53	16.0	824	19.3	30.9	1,791	17.3	18.3	1,036	17.6	21.7	1217	18.2
	54	28.0	1,454	19.3	35.5	2,041	17.4	41.0	2,239	18.3	34.8	1911	18.4
	55	25.3	1,296	19.5	39.3	2,250	17.5	29.7	1,620	18.4	31.4	1722	18.5
	計	77.9	3,991	19.5	131.2	7,519	17.4	102.8	5,657	18.1	103.9	5722	18.4
	対比	100	100	100	100	100	100	100	100	100	100	100	100

　

2)北海製缶缶詰研究所の試験成績(アール当り換算)

品種名	年次	収穫茎数(本)			収穫重量(g)			平均1本茎重(g)
		10g以上	10g未満	計	10g以上	10g未満	計	10g以上	10g未満	計
優勢系統	52	705	184	889	12,684	988	13,672	18.0	5.4	15.4
	53	1,370	444	1,814	29,142	2,538	31,680	21.3	5.7	17.5
	54	3,529	1,021	4,550	71,813	5,722	77,535	20.3	5.6	17.0
	55	3,463	1,338	4,801	68,653	9,650	78,303	19.8	7.2	16.3
	合計	9,067	2,987	12,054	182,292	18,898	201,190	20.1	6.3	16.7
	対比	120	190	132	105	190	110	88	100	83
MW500W	52	392	96	488	7,514	495	8,009	19.2	5.2	16.4
	53	1,111	228	1,339	25,160	1,293	26,453	22.7	5.7	19.8
	54	2,858	494	3,352	68,543	2,833	71,376	24.0	5.7	21.3
	55	3,174	753	3,927	71,573	5,334	76,907	22.5	7.1	19.6
	合計	7,535	1,571	9,106	172,790	9,955	182,745	22.9	6.3	20.1
	対比	100	100	100	100	100	100	100	100	100

時期別収量割合(昭和54、55年の2カ年平均値による)(%)

時期/日 品種	10g以上					10g未満
	1　　　15　　　30　　　　45　　60				計	1　　　15　　　30　　　　45　　60				計
優勢系統	32.5	26.3	25.1	16.1	100	15.7	24.1	31.3	28.9	100
MW500W	33.2	26.1	24.8	15.9	100	15.9	25.0	31.8	27.3	100

9.普及指導上の注意事項
　ホワイト及びグリーン栽培ともに全道一円に適応する「MW500W」と同様の栽培法とする。