【指導参考事項】
1.課題の分類  B-7 寒地型牧草
2.研究課題名  畑地型酪農地帯における牧草雪腐病の総合防除に関する試験
           (1)耐病性草種・品種選定試験
3.期  間  昭和51〜55年
4.担  当  新得畜試 研究部 草地飼料作物科
        北見農試 牧草科
5.予算区分  道費
6.協力分担

7.目  的
 各種雪腐病に対するイネ科牧草の耐病性草種品種を選定する。

8.試験研究方法
(1)場内試験   分割区配置法
(3反復)
  主区: 薬剤防除
イネ科牧草 5草種
新得 20品種
北見 24品種

(2)現地確認試験
  十勝中部地区(帯広)   乱塊法
  3反復
  イネ科牧草3草種
       11〜12品種
  十勝南部地区(大樹)
  斜網東部地区(清里)
  西紋西部地区(興部)

9.主要成果の概要
 (1)雪腐病抵抗性ではチモシー及びケンタッキーブルーグラスが最も強く、オーチャードグラス、メドーフェスク及びトールフェスクはおおむね同程度であった。
 (2)雪腐病の被害が明らかになる1番草乾物収量は、新得ではチモシーが最も多く、メドーフェスク及びトールフェスクがこれに次ぎ、オーチャードグラスが少なかった。北見でもチモシーが最も多く、次いでオーチャードグラス及びメドーフェスクが多く、トールフェスクがやや少なかった。
 (3)年間の乾物収量は、新得ではケンタッキーブルーグラスが少なく、他の4草種はほぼ同程度であった。北見ではトールフェスクが最も多く、次いでチモシー及びオーチャードグラスがほぼ同程度であった。
 (4)オーチャードグラスの品種で比較的雪腐病抵抗性があると考えられるものは、新得では「ケイ」及び「チヌーク」、北見では「ケイ」であった。しかし、これらの品種の年間乾物収量は「キタミドリ」、「フロンティア」、「北海道従来種」及び「ホクレン改良種」には及ばなかった。
 (5)現地確認試験においても上記場内試験とほぼ同様な結果を得た。

10.主要成果の具体的データ
表1 乾物収量(3か年の合計 無防除 対標準品種比(%)
草種 品種 1番草 年間合計
新得 北見 新得 北見
Or キタミドリ
(標準品種)1)
100
(826)
100
(887)
100
(2,280)
100
(2,541)
アオナミ 89 89 93 102
フロンティア 101 106 99 104
ヘイキング 81 101 87 91
ケイ 113 128 94 97
チヌーク 120 100 90 84
ラーター 107 108 97 103
マスハーデー 69 - 86 -
フロード 91 103 92 106
ドリーゼ - 91 - 95
リドー - 103 - 96
フィロックス - 71 - 87
北海道従来種 - 98 - 104
ホクレン改良種 - 102 - 101
平均 97 100 93 98
Ti センポク (534)2) 199 (1,378)3) 98
北王 (557) 212 (1,449) 105
ホクシュウ (474) 237 (1,259) 109
ノースランド (491) 175 (1,294) 89
平均   211   100
Me バンデイ (359)2) 76 (683)2) 85
レレー (406) 94 (709) 94
北海1号 (411) 106 (716) 95
平均   92   91
Ta ホクリョウ 142 90 104 116
バッカフォール 129 85 97 111
平均 136 88 101 114
Ke ケンブルー 96 72 87 84
トロイ 111 76 85 90
平均 104 74 86 87
lsd(5%) 15 12 8 7
注1) ( )内実数(kg/a)
 2)2か年平均値(実数,kg/a)
 3)1か年合計(実数,kg/a)

11.今後の問題点
 (1)「ケイ」のように道東地方においても安定的に1番草収量が確保され、かつ2・3番草についても多収なオーチャードグラス品種の育成
 (2)雪腐病激発年における草種品種の特性把握。

12.普及指導上の注意事項
 品種の選定は当該地域の北海道奨励及び準奨励品種とすること。