【指導参考事項】
1.課題の分類  牧草栽培
2.研究課題名  北海道におけるアルファルファの刈取時期に関する試験
          (1)天北地方におけるアルファルファの刈取時期について
           −単播草地における刈取時期−
3.期   間  (昭和52〜54年)
4.予算区分  道 単
5.担   当  天北農試作物科
6.協力分担

7.目  的
 天北地方における各番草の適切な刈取ステージおよび生育日数について、造成後経過年数の異なる草地で検討し、Cutting Schedule作成上の基礎資料とする。

8.試験方法
試験−Ⅰ:造成初年目草地におけるCutting Schedule
 昭和53年5月18日に播種した単播草地(「デュピー」、播種量2.0g/㎡、散播)を用い下記の刈取処理を行ない、翌年同一時期(1番草:7月3日、2番草:8月18日、3番草:10月9日)に刈取り前年の処理の影響について検討した。
 1番草(播種後76日目)×2番草(40、57、71日目)……3処理
 1番草(播種後98日目)×2番草(35、49日目)   ……2処理
 1番草(播種後98日目)×2番草           ……1処理  計6処理

試験−Ⅱ:造成2年目と3年目草地におけるCutting Schedule
 昭和52年に造成2年目と3年目の単播草地(試験−Ⅰと同じ)を用い、昭和53年までの2ヶ年同じ刈取処理を行なった。昭和54年回一時期(試験−Ⅰと同じ)に刈取り、前年までの刈取処理の影響について検討した。処理は1番草(着蕾期前:38日、着蕾期:51日、開花始後:65日)3処理、2・3番草4処理の12処理と2回刈区1処理の計13処理。

9.主要成果の概要
 各番草の刈取間隔が永続性におよぼす影響について、造成後経過年数の異なる草地で検討した結果、次のCutting Scheduleが良いと考えられた。
 1)造成初年目では、6月上旬までの播種の場合1番草を7月下〜8月中旬(着蕾期〜開花始)、2番草を10月中旬に刈取り、1番草を遅く刈取った場合(8月下旬以降)1回刈りが良いであろう。6月中旬以降の播種では、生育の良否によって危険帯前後の1回刈りかあるいは刈取らない方が良いであろう。
 2)造成2年目は、永続性維持の面から個体の充実を第1義とし、約60日間隔の1番草7月上〜中旬(開花始以降):2番草8月下〜9月上旬(開花盛期)の2回刈りが良いであろう。
 3)造成3年目以後は、永続性および飼料価値を勘案して、早刈りを目標とした場合、1番草を6月中旬(着蕾始、約45日)、2番草を7月下〜8月下旬(約1/2開花期、約40日)、3番草を10月中旬(60日)にそれぞれ刈取るような計画が可能である。

10.主要成果の具体的数字
1.造成初年目草地における処理翌年(S54年)の乾物収量(g/㎡)
処理
No.
生育日数 1番草 2番草 3番草 合計
1番草 2番草
1 76 40 352 221 168 741
2 57 310 226 164 700
3 71 444 255 174 873
4 98 35 242 211 164 617
5 49 408 230 175 813
6 - 471 262 179 912
F値 ** * n.s **
LSD (0.05) 97 27 - 91
C.V (%) 17.1 7.7 6.6 7.7
   注1)*、**:0.05、0.01水準で有意。

2.造成2年目と3年目草地における同一時期の刈取り(S54年)の乾物収量(g/㎡)
処理
No.
生 育 日 数 A 草 地 B 草 地
1番草 2番草 3番草 1番草 2番草 3番草 合計 1番草 2番草 3番草 合計
1 38 50 40 308 252 184 744 367 315 146 828
2 59 30 296 233 176 705 347 284 117 748
3 62 372 363 209 944 436 339 159 934
4 69 52 315 313 207 833 403 323 153 879
5 51 35 40 238 206 176 625 377 273 141 791
6 44 30 187 364 181 574 317 281 142 740
7 62 350 323 211 925 428 341 160 929
8 56 52 327 263 213 863 412 324 165 901
9 65 23 40 119 177 180 562 291 261 144 696
10 33 30 141 330 163 481 316 218 141 675
11 62 378 325 204 912 462 368 175 1005
12 42 52 350 388 205 880 448 342 151 941
13 65 60 - 403 288 197 988 412 388 174 974
平  均 291 288 193 772 386 312 151 849
F 値 ** ** n.s ** ** n.s n.s *
LSD (0.05) 99 81 - 150 78 - - 173
C.V (%) 20.7 17.3 8.8 11.9 12.7 16.1 13.2 12.2
注1)*、**:0.05、0.01水準で有意。
 2)草地:造成2年目から処理した草地。B草地:造成3年目から処理した草地。

11.普及指導上の注意事項
 1)秋の最終刈取時期の危険帯(9月下旬〜10月上旬)の利用はさける。
 2)本試験は単播草地で行なったため、混播草地における適応は今後十分検討する必要がある。
 3)造成3年目以降、1・2番草を遅く刈取る場合は、3番草の刈取間隔を50日以上とするCutting Scheduleが良い。
 4)本試験は鉱質土壌で行なったものである。