【指導参考事項】
露地メロンの着果安定と熟期促進に関する試験
1.夜冷育苗による着果促進

メロン 栽培
北海道中央農試

期  間  昭和55〜57年  予算区分  道単  協力分担

1.担  当  園芸部花きそ菜科 沢田一夫

2.目  的  露地メロン栽培安定の一貫として初期収量を安定させるため、低節位から良好な果実を生産することが必要である。そのためには育苗期の管理により、良好な両性花を低節位から着生させなければならないが、夜温日長等を処理することによりその可能性を検討した。

3.試験方法
ア.試験区別
区別 年度
要因 水準 昭55 56 57
夜温 13℃
18    
23
日長 8時間
自然
処理
日数
15日  
25

イ.一区面積および区制
 苗床 0.81㎡(24株)〜1.62㎡(48株) 単区制
 本畑 7.5㎡(5株)   2区制
ウ.供試条件
 品 種 キングメルティ
 土 壌 苗床(55.56年)モミガラ堆肥1/2+火山灰1/2
         (57年)  ピートモス1/2+火山灰1/2
      本畑 褐色森林土性疑似グライ土
 肥 量 苗床100L中 化成140g 過石200g Mgカル400g 本畑N.P.K各2.0kg/a
 は種期 4月15日、4月25日、定植期 5月20日、栽植密度 250×60cm1本立て
エ.苗処理法
 育苗フレームを利用し、最低温度は電熱とサーモで制御した。短日処理は100%遮光フィルムでフレームを覆った。昼間はハウス内で一般管理を行った。

4.結果及び考案
 1.苗の生育は、夜温が低いほど日長が短いほど遅延していた。
 2.親づるの5節附近(3〜7節)に分化する全両性花は、夜温が13〜18℃で高く、日長はいずれの夜温でも8時間日長が高い分化率を示した。しかし、健全な両性花では18℃8時間日長が高く、次いで13℃自然日長と続いていた。
 3.苗の外部形態と両性花の分化率はいずれも6負の相関を示した。ただ苗素質を示すものと考えられる地上部生重/G.I.でのみ正の相関が得られた。
 4.低夜温あるいは短日処理した苗の活着がやや遅れ、さらに初期生育が遅延したが、5節附近の両性花の開花期では差が認められなかった。
 5.結局、低節位着果を目的に育苗する場合、初期生育等を考慮すると18℃程度の夜温で8時間日長とする方法がよい。

5.主要な試験データー
 ア.苗の生育      (昭56年)
区別 草丈 葉数 地上部
生草重
要因 水準
夜温 13 3.7cm 3.3 7.2g
23 6.0 5.1 11.5
日長 8時間 4.0 3.6 4.8
自然 5.6 4.8 13.8
処理
日数
15日 3.9 3.1 5.8
25 5.8 5.3 12.8

               (昭57年)
区別 草丈 葉数 地上部
生草重
要因 水準
夜温 13 10.1cm 4.7 14.7g
18 12.2 5.4 20.4
23 18.3 6.6 27.3
日長 8時間 9.1 5.0 11.6
自然 17.8 6.1 30.0

イ.両性花分化率(親づる)(昭55〜57年)
区分 3〜7節 8〜12節 3〜12節
要因 水準
夜温 13℃ 64% 73% 68%
23 45 73 43
日長 8時間 62 80 70
自然 47 65 56

                      (昭57年)
項目/区別 全面性花 健全両性花
3〜7節 8〜12節 3〜7節 8〜12節
1 13℃ 8h 84% 94% 46% 40%
2 〃 自然 84 90 66 74
3 18 8h 84 96 72 74
4 〃 自然 70 100 48 96
5 23 8h 46 98 42 84
6 〃 自然 20 92 16 74

                   (昭57年)
区別 3〜7節 8〜12節 3〜12節
要因 水準
夜温 13℃ 84% 92% 88%
18 77 98 88
23 33 95 64
日長 8時間 71 96 84
自然 58 94 76

ウ.苗質と両性花分化率との相関
分化率/苗質 昭和56年 昭和57年
3〜7節 8〜12節 3〜12節 3〜7節 8〜12節 3〜12節
草丈 -0.505 -0.733 -0.676 -0.819 -0.517 -0.710
葉数 -0.389 -0.487 -0.477 -0.731 -0.249 -0.533
茎径 -0.209 -0.661 -0.429 0.023 -0.263 -0.444
葉面積 -0.516 -0.693 -0.661 -0.662 -0.354 -0.539
地上部生草重 -0.568 -0.685 -0.681 -0.724 -0.415 -0.603
G.I -0.632 -0.805 -0.754 -0.808 -0.481 -0.687
地上部
生草重/G.I
0.176 0.311 0.265 0.784 0.288 0.592
注.G.I=草丈×茎径×葉数

エ.定植後30日目の生育(昭57年)
区別 つる長 節数
要因 水準
夜温 13℃ 97.9cm(89%) 19.4(95%)
18 109.5(100) 20.4(100)
23 107.3(98) 21.0(103)
日長 8時間 90.7(76) 19.0(89)
自然 119.0(100) 21.4(100)

6.今後の問題点

7.普及指導上の注意事項