【指導参考事項】(昭和55〜57年)
野菜畑土壌(ホーレン草,ハウストマト,ハウスハクサイ)の肥沃度に対応した施肥法
Ⅱ　ハウス土壌に対する適正塩基レベル並びにN施肥量

道南農試土壌肥料科

目　　的
土壌中の適正なCaレベルの策定とN施肥量を決定することにより、葉菜(ハクサイ)、果菜(トマト)の高品質・安定多収を図る。

試験方法
ハクサイ
　試験区;土壌中のCaO目標レベル300、600、900mg/10a×N・K₂O
　　　　　　施肥量10、20、40、80kg/10a(炭カル、硝安、硝加、重焼燐……全量基肥)
　栽培条件;品種は「無双」、促成、2年前に床土を交換、場内大型ビニールハウス
トマト
　試験区:ハクサイに同じ。ただしN・K₂Oは10、20、40、60kg/10a
　栽培条件;品種は「強力秀光」

試験成果の概要
ハクサイ
　1)処理によっては、Ca欠乏による“心腐れ”や“ふち腐れ”が多発し、Ca少レベルおよびN・K多施条件下で顕著であった。これは作物体内のCa欠乏とN多施によるN濃度の上昇が惹起したものと思われた。
　2)土壌中のCa飽和度80%程度で、正常球収量がもっとも多かった。
　3)造成ハウス土壌における望ましい無機態N量は定植後2週間目で10mg前後であり、対応する基肥N量は10〜15kg/10aである。
トマト
　1)生育期間中のEC、NO3-N量は収量に大きな影響を及ぼした。
　　そして望ましいECは0.4、NO3-Nは10mg前後であり、上限のECは0.8、NO3-Nは20mgとする。
　2)Caレベルの相異は、収量には影響を及ぼさなかったが、30日目の生育量はCa飽和度60〜70%で、ほぼ頭打ちとなり、それ以上では減少した。
　3)果実収量はK飽和度が10%を越えると減収した。

主要成果の具体的数字
ハクサイ

Ca600系列における部位別N濃度

置換性Caと正常球収量

トマト

普及指導上の注意事項
ハクサイ
1)N無機化量の多い造成ハウスを対象とした。一般経年ハウスに対しては地力N及び残存N量の評価を行って適応すること。
2)Ca飽和度は粗粒質土壌を除外する。
トマト
1)ECの基準は中粗質土壌を対象とする。
2)Ca、K飽和度は粗粒質土壌を除外する。