【指導参考事項】
1.課題の分類  稲転、雑穀収穫
2.課題名  ビーンハーベスタに関する試験(緊急豆類収穫乾燥対策)
3.期 間  昭56〜昭58年
4.担 当  中央農試農業機械部
5.予算区分  道単
6.協力分担  十勝農試

7.目 的
 転作畑における菜豆、大豆等いわゆる雑豆類の高度な省力化を目的としたコンバイン直接収穫は今のところ難問が多い。そこで高性能なハーベスタを試作し、収穫双と同時にコンテナに収納し、圃場から運出し、コンテナ単位て風乾、脱穀を行い、省力化を図らんとする。

8.試験方法
1)期日と場所  昭和57年(1982)8月〜11月、長沼町並びに美瑛町
2)材 料  菜豆:大正金時、大豆:早生こがね、こがねじろ、小豆:大納言、寿(美瑛)
3)供試機  KW-4B(F)4畦用前装ハーベスタ、FK-4B(R)4畦用後装ハーベスタ
4)要 因
 ①時期 菜豆:9月8日、16日、22日、25日  大豆:10月5日、12日、27日 小豆:10月12〜13日、15〜16日(美瑛町)
 ②時 刻  早朝刈:9時以前 日中刈:10時以降
 ③作業速度  0.6、0.8、0.3m/s
 ④自然乾燥法  コンテナ方式、ニオ積

9.結果の概要
[1]KW-4B(F)ハーベスタ
 1)菜豆収穫  16日の日中の子実損失は1.5%であったが、22日の早朝刈では低刈の場合に子実損失は7.3%に過ぎない。しかし、高刈では子実損失は0.7%発生誌、刈残が多い試そう損失は7.3%と増加した。作業速度が0.6〜1.4m/sの範囲では速度の違いによる損失の差は認められなかった。しかし、刈高さについては6cm以上では刈浅が多く、且つ高刈に誘引されて他の損失が増加し、25日の如く総損失は8.6%と多い。刈高さが4cm以下の場合は刈残は少なく、総損失も3%以下に止まった。
 2)大豆収穫  早生こがねの子実損失は早朝刈が0.1%に対して、日中刈は0.5〜0.6%発生し、こがねじろでは早朝刈で0.2%であるが、日中刈では2.3%と多発し、総損失も3.8%と多かった。
 3)小豆収穫  小豆の日中刈は特に子実損失が多く9.2%であるが、早朝では0.2%と僅少であり、総損失は日中刈が10.0%であるのに対して、早朝刈では1.8%であった。
 4)コンテナ風乾試験  茎葉莢を含めた総体の初期水分は菜豆が58%前後と高いが、枯凋剤施用区は51.8%と少なく、大・小豆は落葉したため30%前後であった。何れのコンテナも良好な風乾が行われ、脱穀時の子実水分は菜豆が17%前後、大・小豆が15%前後であった。

[2]FK-4B(R)ハーベスタ
 小豆について実施した結果、日中刈は子実損失が7.2%と多発し、総損失も8%前後と多かったが、早朝刈では子実損失は0.2〜0.5%と少なく、総損失も1%程度であった。作業能率は作業速度0.65m/sで行った結果、41.5a/hであり、作業効率は67.3%であった。

10.主要成果の具体的数字
〔1〕KW-4B(F)ハーベスタ
表1.収穫試験
作物
種類
品種 収穫期日 作業速度
(m/s)
刈高さ
(cm)
供給量
(kg/s)
総損失
(%)
損失内訳(%)
月日時刻 刈残 枝付 莢付 子実
菜豆 大正
金時
9.16/10:00 0.61 4.1 1.95 3.6 0.1 0.7 1.3 1.5
9.22/6:00

枯調剤
0.56
0.80
0.63
7.7
1.8
5.7
1.70
2.67
1.45
7.3
0.2
3.9
3.2
0
1.2
2.0
0.0
1.8
1.4
0.2
0.3
0.7
0
0.6
9.25/7:00 0.67
0.81
1.40
5.9
7.1
7.3
1.71
1.98
3.48
5.0
8.6
3.7
1.7
2.9
2.3
1.1
2.2
0.1
1.1
1.3
0.7
1.1
2.2
0.6
0.64
0.82
1.22
5.4
4.1
3.0
1.73
2.35
3.10
4.6
2.7
2.0
2.1
1.0
0.1
0.7
0.2
0.2
0.3
0.4
0.4
1.5
1.1
1.3
大豆 早生
こがね
10.5/8:00 0.67
0.82
-
-
1.32
1.44
1.3
1.3
0.7
0.2
0.5
1.0
0.0
0.0
0.1
0.1
10.12/11:00 0.24
0.64
-
4.7
-
-
0.7
0.8
0
0
0.1
0.1
0.1
0.1
0.5
0.6
こがね
じろ
10.27/8:00

   11:00
0.69
0.82
0.82
4.1
6.0
4.9
1.33
1.57
1.34
1.2
1.4
3.8
0.1
0.1
0.2
0.8
1.0
1.0
0.1
0.1
0.3
0.2
0.2
2.3
小豆 大納言 10.12/13:00
10.13/8:00
0.58
0.44
-
3.2
-
0.76
10.0
1.8
0
0
0.8
0.8
0.0
0.8
9.2
0.2

表2.コンテナ詰風乾
品種 収穫期日
(月日)
初期水分
(%)
サンプリング期日 子実水分
(%)
9.16 9.22 10.6 11.4
金時
9.8
9.16
9.22
9.22*
9.25
58.9
55.0
58.3
52.1
58.3
39.4
-
-
-
-
21.9
34.1
-
-
-
19.5
20.2
28.7
19.9
25.6
16.9
17.3
17.6
17.8
17.5
17.3
17.1
17.0
17.3
17.0
早生
こがね
10.5
10.12
32.4
-
-
-
-
-
-
14.8
14.7
15.7
14.9
こがね
じろ
10.27 24.2 - - - 17.1 16.1
大納言 10.13 33.7 - - - 14.8 14.8
*枯調剤使用

 [2]FK-4B(R)ハーベスタ
 

表3.精度試験
収穫期日
(月日)
作業速度
(m/s)
刈高さ
(cm)
供給量
(kg/s)
供給量
(kg/s)
損 失 内 訳 (%)
刈残 枝付 莢付 子実
10.15
0.46 3.4 - 7.9 0.0 0.1 0.4 7.2
0.62 3.3 - 8.1 0 0.4 0.5 7.2
10.16
0.48 2.0 1.23 1.3 0 0.3 0.5 0.5
0.67 1.8 1.49 0.9 0 0.3 0.4 0.2

 表4.作業能力
作業速度
(m/s)
刈取幅
(m)
作業内訳(%) 所要時間
(s)
面積
(a)
作業能率
(a/h)
直進 回行 停止
0.65 2.64 67.3 8.6 24.1* 8.68 10.0** 41.5
 *フレコン交換
**190×5.28m

11.普及上の留意点
 1)収穫は莢水分の多い9時以前に行う。
 2)刈高さは出来るだけ低刈とし、刈残が無いように注意すること。
 3)刈幅が4条のためあぜをとりこわさない転作畑には向かない。

12.次年度の計画
 1)後装型ハーベスタヘの改造
 2)コンテナ方式による風乾から脱穀に至るハンドリングの一貫機械化
 3)時期別におけるコンテナ詰風乾の品質(金時)
 4)金時の形態別乾燥における色沢の検討(子実、莢付、枝莢付)