【指導参考事項】
1.課題の分類
2.研究課題名  寒冷多雪地帯における秋播小麦安定栽培技術確立試験
         小麦畑における秋播小麦間作試験
        −機械化適応試験−
3.期 間  昭和54〜46年
4.担 当  十勝農試
5.予算区分
6.協力分担

7.目 的
 秋播小麦は適期播種の前作に不足し、連作を強いられている場面が多い。れんさくを回避し、適正輪作を構成するためには豆類の収穫時に畦間に秋播小麦を播種するのも一つの便法である。間作小麦の機械化対応技術を現地に組立てる。

8.試験研究方法
 1)試験年次  昭和54年〜56年
 2)試験場所  現地農家圃場
          帯広市(川西)、鹿追町、清水町、池田町、更別村
 3)供試機   ドリル 型式TA-80
         ビーンハーベスタ 型式Y2型
 4)調査項目  作業精度、作業能率、小豆の乾燥調整

9.結果の概要・要約
 (1)施肥カルチベータに種子くり出し装置、施肥、装置を付加し、現地試験を実施した。肥料と種子が接近し一部に発芽障害がみられた。55年度は肥料と種子を完全に分離する機構に改良した。
 (2)播種時にトラクタのタイヤによる豆類の茎葉の損傷が認められた。55年度はロークロップタイヤを用い、また、トラクタのデバイダを改良し損傷最小限にとどめるようにした。豆類の倒伏が著しい場合を除いては特に問題は認められない。
 (3)肥料・種子のくり出し機構はスピンナ式で構造が簡潔であるが機体の前後斜面、作業速度によってくり出し量が変化する特性がある。傾斜地ではこの点考慮に入れ、シャタを探作してくり出し量を調節する必要がある。なお改良施肥カルチベータは間作ばかりでなく普通ドリルとしても利用できる。
 (4)ビーンハーベスタには、54年度にアンローデングコンベヤを装着した。搬送能率が不充分であり、55年度これを改良した。刈取と同時ににおを作り、枕地に搬出するためビーンハーベスタでトレーラをけん引しトレーラ上の網袋に莢実を詰める。莢実は枕地で自然乾燥する。
 (5)網袋乾燥では、早朝収穫で茎葉、莢水分が多く、落葉が不十分な場合は通風が悪く中央部にムレの生ずることがある。乾燥状態によっては詰替しなければならない。
 (6)これ迄小豆の後には小麦が播種できないとされていたが、これが可能となった。小豆、小麦の収量は劣るものではない。

10.主要成果の具体的数字
表1 年次別試験経過
年次 トラクタ・施肥播種機 ビーンハーベスタ 乾燥法
54年 1)施肥カルチベータの一部を改良 1)2条用自走式ビーンハーベスタにアンロデングコンベヤを装着
2)けん引トレーラ試作
1)莢実乾燥用網袋試作
55年 1)ロークロップタイヤを利用
2)デバイダを試作
1)アンロデングコンベヤの改良
2)トレーラの改良
1)網袋乾燥架台試作
56年 1)デバイダを改良   1)網袋の改良
2)網袋乾燥架台の改良

表2 畦間播種機の作業能率
作業速度
(m/sec) (km/hr)
理論作業能率
(ha/hr)
圃場作業効率
(%)
圃場作業能率
(ha/hr) (hr/ha)
0.6 2.2 0.57 45
55
0.26
0.31
3.89
3.19
0.8 2.9 0.76 45
55
0.34
0.42
2.92
2.39
1.0 3.6 0.95 45
55
0.43
0.52
2.34
1.91
1.2 4.3 1.14 45
55
0.51
0.63
1.95
1.59
    注:畦巾66cm  作業巾4畦2.64m  作業人員1名

表3 肥料くり出し精度(作業速度)
速度
(m/s)
シャッタ開度
(cm)
くり出し量
(g/min)
標準偏差
(g)
変異係数
(%)
施肥量
(kg/10a)
くり出し割合
(%)
0.8 3.5 1,521.6 104.5 6.9 96.0 121.7
1.0 3.5 1,563.3 93.5 6.0 78.9 100.0
1.2 3.5 1,611.0 94.3 5.9 67.8 85.9
0.8 4.4 2,054.2 129.9 6.3 129.7 121.9
1.0 4.4 2,107.0 127.7 6.1 106.4 100.0
1.2 4.4 2,195.9 130.6 5.9 92.4 86.8
0.8 6.2 2,627.1 129.3 4.9 165.8 123.4
1.0 6.2 2,662.2 281.6 10.6 134.4 100.0
1.2 6.2 2,750.1 276.9 10.1 115.7 86.1

11.今後の問題点
 施設の利用拡大

12.次年度計画(成果の取扱い)
 現地の実態調査