【指導参考事項】
1.課題の分類  畜産管理
2.課題名  パイプライン搾乳機に関する試験
3.期 間  昭和57年
4.担 当  中央農試農業機械部
5.予算区分  道 費
6.協力分担

7.目的
 新たに導入されたツインバキューム方式について特性を明らかにし、導入・利用上の参考とする。

8.試験方法
 1)供試搾乳機   ゼロ(USA) ツインバキューム式
 2)実施期日および場所  昭和57年10月  中札内村 広瀬牧場
 3)試験調査事項
  (1)仕様・構造
  (2)模擬搾乳試験 哺乳用ゴム乳頭を下部に取り付けた吸水補給缶(20L)からクラスタにより、水を吸引させ、その時の配管真空度を測定した。同時使用クラスタ数は5台とした。

9.試験結果
 1)仕様:真空ポンプは、3.7kw定格出力モーター駆動で、常用真空度450mmHgの時978NL/minであった。ただし、ティートカップライナの外室は0〜250mmHgの真空度が作用するよう調節され、内室真空度は450mmHgの真空度が牛乳配管を伝わり、ミルク・クロー内のフロート間隙によって250mmHg程度に下げられて供給されるようになっている(牛乳配管は送乳のみの機能である)。また、真空配管内真空(250mmHg)はミルククロー内フロートとバランスを保つために供給されるが、牛乳の吸収時に対処するため、真空配管材質はSUS304(2")となっている。パルセータは電磁式で脈動数60.7回/分、脈動比65:35であった。
 2)模擬搾乳試験:クラスタ1台当り0〜2.8L/minの吸水流量とし、クラスタを5台用いた時、牛乳配管真空度は448〜438mmHg、真空配管真空度は265〜255mmHg、ミルククロー内真空度は258〜253mmHgと安定していた。
 3)本方式(ツインバキューム)はティートカップライナの内室および外室への供給真空度を同じ値(250mmHg程度)にできるので、ライナのはい上がり防止に効果があると予想される。また、牛乳配管は送乳機能のみであるので、配管落差によるミルククロー内真空度の変動がない。

10.主要成果の具体的数字
表1 供試機の仕様













銘柄・型式 ゼロ S-19066












材質 生ゴム
排 気 量 450mmHg時 978L/min 口経 23mmf
使用潤滑油 20W20 容量 340mL
潤滑油消費率 80mL/h 空気吸入量 0
定 格 出 力 3.7kw ミルクホース材質 透明ビニール
消 費 電 力 3.6kw 乳頭装着時吊下重 2.5kg
真空タンク容量 242L ミルクしゃ断バルブ 自動フロート
調圧器 形  式 重 錘 式 全空気吸入量 250mmHgの時37.5L/mm
制御圧個数 2(250mmHg、450mmHg)



材  質 SUS304
真空計 1目盛単位 5cmHg 経(内×外) 2"(47.25×507)
目 盛 幅 0〜76cmHg
材  質 SUS304



配 管 方 法 舎内環状 曲率半径 76mmR
ポンプ・分岐管間 2"SGPW管


授乳
容器
材  質 ガラス
分岐間・舎内配管間 2"SUS304 容  量 25L
ストール舎内配管 2"SUS304 排出
装置
方  式 渦巻ポンプ












搾 乳 方 式 1挙動 能  力 96.2L/min
形  式 電磁式


方  式 自動
脈 動 数 60.7回/分 所要
時間
前すすぎ 8分
脈動化
(吸・マ)
63:35 洗剤洗浄 16本
後すずき 6分
シ ェ ル 材 質 SUS304 合 計 30分

2)模擬搾乳試験結果
 (1)条件 牛乳配管全長  48.5m     配管勾配  4/1000
       クラスタ数  5          吸入水量  0.2.8L/min/1クラスタ
 (2)結果 真空配管末端管内  265〜255mmHg
       ミルククロー内    258〜253mmHg
       牛乳配管内      448〜438mmHg

11.普及上の留意点
 ミルククロー内部が若干複雑であるので、洗浄に気をつける必要がある。

12.次年度の計画
 ツインバキュム方式におけるライナー膨張防止効果を確認する。