【普及奨励事項】
1.課題の分類  線 虫・畑 作
2.研究課題名
  ジャガイモシストセンチュウの防除技術確立
    5)防除対策
3.期  間  昭和48年〜57年
4.担  当  中央農試病虫部.畑作部
5.予算区分  道 費
6.協力分担

7.目  的
 殺線虫剤、抵抗性品種、捕獲植物などを輪作体系の中に組み入れた総合的な防除法を確立する。

8.試験研究方法
(1)殺線虫剤の施用法と効果
 土壌くん蒸剤は耕起整地後の圃場に手動灌注機を用い所定量を深さ15㎝に注入踏圧した。土壌施用粒剤は所定量を全面散布しローダーべー夕ーで深さ約25㎝に混入した。「紅丸」を慣行法により栽培。20㎡3反復。線虫密度と被害試験は0.8㎡ワク試験
(2)総合的な防除対策
 ジャガイモ→コムギ→マメ→テンサイの4年輪作の中において、ジャガイモまたはコムギの収穫後の10月上旬にくん蒸剤注入区を、ジャガイモの植付期に粒剤施用区を設けた。感受性品種として「男爵薯」「紅丸」、抵抗性品種として「ツニカ」「Ehud」を用いた。125㎡ 1区制。
(3)捕獲植物の検索と利用
 ナス科6属17種、アカザ科1種、マリーゴールド2種についてポット、ワク試験により線虫の寄生性と土壌中密度の変動を調査し、ほ場でトウモロコシ間作における線虫密度低減効果をみた。

9.結果の概要・要約
(1)殺線虫剤の施用法と効果
 ①土壌くん蒸剤ではD-D油剤60L/10a、または1.3−デイクロルプロペンが主成分の薬剤30〜40Lの9月下旬〜10月中旬処理の効果が高く(昭和50、52、55指導)、またそれぞれの半量ずつの2回処理が1回処理より効果が高かった。
 ②ジャガイモ植付期に施用する粒剤として、オキザミル粒剤30kg/10a、エソプロホス粒剤15〜20kg、ダイアジノン粒剤40Kgの全面施用が有効であった(昭和50、52、53,55指導)。またオキザミル粒剤、エソプロホス粒剤は感受性品種栽培時に施用した場合、線虫の被害回避とともに線虫の増殖抑制効果も高い。(第1図)
(2)総合的な防除対策
 ①抵抗性品種の栽培により土壌中の線虫密度は約70%低下するが、高密度ほ場でくん蒸剤処理または植付期に粒剤を施用して低抗性品種を栽培すると、線虫密度はさらに低下し収量も高くなった。しかし、低密度ほ場に処理した場合は効果の明らがでない例が多かった。
 ②4年輪作の中に各種の手段を組合せた試験では乾土1g当り500卵以上の高密度ほ場で土壌くん蒸により密度低下をし、抵抗性品種を栽培した区は4年間で10卵以下の低密度にできた。(第2図⑦⑧)また粒剤を施用して感受性品種を栽培した区は約30の中密度に低下できた。(⑥)
(3)捕獲植物の検索と利用
 イヌホウズキおよび「ツニカ」をトウモロコシと同時に植付すると収穫期の線虫密度は植付期の15〜30%に低下したが、実用的には更に検討を要する。

10.主要成果の具体的数字

第1図 線虫密度の高低と増殖率およびジャガイモの収量
注)オキサミル粒剤30kg/10aと無処理区は昭和53〜55年試験
 ダイアジノン粒剤30kgは54年,エソプロホス粒剤20kgは55年試験


O:オキザミル粒剤30kg/10a施用
D:50年10月D-D油剤60L,55年10月DCP92油剤30L/10a注入

11.今後の問題点