【指導参考事項】
1.課題の分類  家畜 鶏 飼養
2.研究課題名  鶏の省力制限給餌法の改善試験
        −育成期の給与時間制限法−
3.期  間  54〜56年
4.担  当  滝川畜試 種畜部 家きん科
5.予  算  道  費
6.協力分担  な  し

7.目  的
 鶏の制限給餌法では、定量給与による方法は確実な制限が行えるが、成長に応じた給与量の把握が必要であり、また日常の定量給与作業に繁雑さを伴うことから普及しづらい点がある。そこでより省力的な制限給餌法の一つとして、給与時間制限法をとりあげ検討する。

8.試験研究方法
 ○供 試 鶏………5月ふ化白色レグホーン種(SH)416羽
処理区 1〜71日令 72〜127日令 128〜468日令
C区 不断給与 不断給与 不断給与
6H区 6時間給与
4H区 4時間給与
2H区 2時間給与

9.試験結果の概要
 1.給与時間の制限により、飼料消費量は93.5%(6H区)、88.1%(4H区)、83.3%(2H区)に制限された。
 2.制限区の産卵率は、前期(151〜304日齢)はC区におよばないが、後期(305〜468日齢)の低下が小さく、前期と同レベルを維持するという産卵パターンの変化が認められた。
 3.収益性を試算した結果、飼料費の節減が有利にはたらき、制限をした3区ともC区より収益増となった。
 4.制限区の後期の優位性は試験終了時も継続され、経済寿命の延長もはかられるものと考えられた。
 5.産卵成績、収益性の試算より、4H区が最も優位であった。

10.主要成果の具体的図表
表1.育成期の飼料消費量
処理区 飼料消費量
日齢
72〜127 128〜150 72〜150
g/羽 g/羽 g/羽
C区 4,498(100) 2,126 6,624
6H区 4,195(93.5) 2,153 6,348
4H区 3,957(88.1) 2,244 6,201
2H区 3,740(83.3) 2,353 6,093

表2.産卵成績(151〜468日齢)
処理区 産卵率 平均
卵重
産卵
日量
飼料
消費量
飼料
要求率
% g g g/羽/日
C区 79.5 62.9 50.1 121.2 2.42
6H区 78.8 63.6 50.3 118.3 2.35
4H区 80.5 62.7 50.5 118.2 2.34
2H区 79.1 63.8 50.5 120.9 2.39

表3.1羽あたりの収益性
処理


支出 総支出 収入 総収入 収益性
育成期 産卵期 鶏卵 廃鶏 総収入
一総支出
C区
との差
消費
飼料費
1)
消費
飼料費
2)
産卵
重量
卵収入
3)
重量 収入
4)
kg kg kg kg
C区 790 6.624 488.2 38.556 2,499.50 4,227.70 16.035 4,606.90 2.128 107.0 4,713.90 486.2 -
6H区 790 6,348 467.8 37.605 2,876.80 4,134.60 16.017 4,601.70 2.007 101.0 4,702.70 568.1 81.9
4H区 790 6,201 457.0 37.661 2,881.10 4,128.10 16.134 4,635.30 2.042 102.7 4,738.00 609.9 123.7
2H区 790 6,093 449.1 38.435 2,940.30 4,179.40 16.074 4,618.10 2.113 106.3 4,724.40 545.0 58.8
1)育成用飼料(大雛用) 73.7円/kg 最近3カ年の平均値(昭和55〜57年)
2)成鶏用飼料 76.5円/㎏
3)卵    価 287.3円/kg
4)廃鶏価格 50.3円/㎏

11.今後の問題点
  ふ化時期、鶏種の違いによる制限の強さと反応の違い。

12.指導上の注意事項
  本試験は大型コマーシャル鶏の春雛を用いた結果である。
 (1)デビークを適確に行う。
 (2)発育が極端に遅れた鶏は除外する。
 (3)一斉に全羽数が摂取できるだけの給餌器の余裕をもつ
 (4)給与時間帯は作業体系に合わせて設定する。