【指導参考事項】
1.課題の分類  牛 家畜衛生
2.研究課題名
   乳牛への消化管内線虫駆虫薬サイアベンダゾールの応用
3.期  間  54〜56年
4.担  当  滝川畜産試験場衛生科
5.予  算
6.協力分担  別海町農業共済組合

7.目  的
   乳牛での消化管内線虫寄生による被害を明らかにする。

8.試験研究方法
(1)牛糞便内線虫卵検査法の検討
(2)乳牛へのサイアベンダゾール投与試験
  1)乳牛の消化管内線虫寄生状況調査
  2)乳牛の消化管内線虫駆虫試験

9.結果の概要・要約
(1)ウイスコンシン法を改良して変法をほぼ確立した。
(2)試験は別海町の乳牛を対象に実施した。
 1)ウイスコンシン変法を用いての糞便検査による消化管内線虫の寄生状況は、検査数331例のうち虫卵陽性は288例で87.0%の虫卵陽性率を示し、平均虫卵数(糞便5g中)は28.21±0.88個であった。虫卵陽性率および平均虫卵数は8月をピークとする山形を示し、放牧期が舎飼期より高く、多かった。
 2)197組(394頭)の乳牛を用い、各組の1頭に分娩後2日以内にサイアベンダゾール75%製剤として60gを投与した。
 駆虫により虫卵陽性率および平均虫卵数とも有意に減少して、駆虫効果は明らかであった。データのそろった71組についてみると、駆虫群はその後の泌乳期間に無投薬対照群よりも乳量増加が得られた。

10.主要成果の具体的数字

乳牛の月別糞便内線虫卵陽性率と平均中卵数

サイアベンダゾール駆虫による平均乳量の比較

11.今後の問題点
 (1)道内の乳牛における線虫寄生状況と被害の把握
 (2)駆虫の乳生産効果をもたらすメカニズムの解明
 (3)草地汚染程度と乳牛での寄生度合の関係
 (4)未成熟虫の検査法の検討
 (5)効果的な駆虫法の検討

12.普及指導上の注意事項
 (1)サイアベンダゾールには現在のところ投与後の牛乳の出荷制限はつけられていないが、安全性を考慮に入れると分娩後2日以内に実施することが望ましい。またこのことが増乳をもたらす方法としては好ましい。