【指導参考事項】
1 課題の分類  経営方式 その地 稲+野菜
2 研究課題名
 複合型野菜作経営の安定化に関する調査研究
−道南・道央における複合型野菜作経営の安定化−
3 期間  (昭和55年−昭和57年)
4 担当  道立中央農試経営科
5 予算区分  総合助成
6 協力分担  十勝農試機械科

7 目的
 道内における野菜生産は、昭和55年度で1115億円余となり耕種部門の約21.5%を占めている。しかし、小規模経営が高収益集約作物として取り入れており、複合型野菜作経営の形態が一般的であるため、経営の安定化は重要な経営的課題となっている。そこで、不安定要因の農業所得への影響を分析・検討する。

8 試験研究方法
 1)試験方法
複合型野菜作経営の不安定要因として、1)農産物価格、2)収量 の変動を取りあげ、第1目標を所得水準、第2目標を所得安定として目標計画法を援用し、所得目標値設定による所得安定水準の達成不足額と作付変動について分析する。
 2)調査対象地
渡島管内上磯町、上川管内東川町

9 結果の概要
第1表 上磯町(価格)GPの結果
  GP1 GP2 GP3 GP4 GP5
第1目標 所得目標額 728.5 700 650 600 550
達成不足額 0 0 0 0 0
第2目標 安定目標額 0 0 0 0 0
達成不足額 186.6 182.8 178.5 99.6 87.8
不足額の差 0 3.9 8.1 87.0 99.7
作付面積 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0
夏大根 0 0 0 0 0
秋大根 2.0 0 2.0 2.6 2.0
ニンジン 0 0 0 0.5 0.7
キャベツ 0 0.2 0 0 0
ハクサイ 0 0.7 0 0 0
夏大・ハク 0.9 0.9 1.0 0 0
                     *単位 万円、ha

第2表 上磯町(収量)GPの結果
  GP1 GP2 GP3 GP4 GP5
第1目標 所得目標額 728.5 700 650 600 550
達成不足額 0 0 0 0 0
第2目標 安定目標額 0 0 0 0 0
達成不足額 110.0 103.7 99.8 65.7 54.5
不足額の差 0 6.3 10.2 44.3 53.5
作付面積 1.0 1.0 1.0 0.9 0.5
夏大根 0 0 0 0.4 0.4
秋大根 2.0 2.2 1.7 2.6 2.6
ニンジン 0 0 0 0 0
キャベツ 0 0 0 0 0
ハクサイ 0 0 0.2 0 0
夏大・ハク 1.0 0.8 1.0 0 0
                    *単位 万円、ha

第3表 東川町(価格)GPの結果
  GP1 GP2 GP3 GP4 GP5
第1目標 所得目標額 878.8 850 800 750 700
達成不足額 0 0 0 0 0
第2目標 安定目標額 0 0 0 0 0
達成不足額 68.0 64.5 33.0 33.0 18.3
不足額の差 0 3.5 35.0 43.2 49.7
作付面積 4.5 4.5 4.5 4.5 4.5
夏大根 0.1 0 0 0 0
秋大根 0.4 0.5 0 0 0
スィートコーン 1.1 0 1.8 1.8 1.3
ニンジン 1.5 2.4 0.5 0 0
                     *単位 万円、ha

第4表 東川町(収量)GPの結果
  GP1 GP2 GP3 GP4 GP5
第1目標 所得目標額 878.8 850 800 750 700
達成不足額 0 0 0 0 0
第2目標 安定目標額 0 0 0 0 0
達成不足額 172.3 161.1 149.5 137.7 126.6
不足額の差 0 11.2 22.8 34.6 45.7
作付面積 4.5 4.4 3.9 3.7 3.5
夏大根 0.1 0.3 0.5 0.5 0.7
秋大根 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4
スィートコーン 1.0 1.4 1.4 1.4 1.4
ニンジン 1.5 0.8 0.7 0.3 0
                       *単位 万円、ha

第1図 上磯町の所得目標と安定目標の関係

第2図 東川町の所得目標と安定目標の関係

 1)所得目標を低下させると、上磯町と東川町において所得安定目標の達成水準は必ず上昇する。
 2)価格と収量の変動の所得に与える影響については、上磯町では相対的に価格変動による所得変動が大きく、東川町では相対的に収量変動による所得変動が大である。
 3)作付変動との関係では、上磯町における価格GPの結果によれば、安定化のためにはニンジンの作付が増加し、収量GPの結果によれば、春大根の作付が増加し秋大根も増加する。
 4)東川町においては、価格GPの結果、所得安定化を図るためには春秋大根とニンジンの作付が減少し、スィートコーンの作付に集中する。収量GPの結果、春大根の作付増加とニンジンの作付面積の減少により所得安定化を実現する。

11 今後の問題点
 野菜作経営では、技術的にも価格形成においても産地化の問題が経営外部環境として経営の安定化に大きな影響を与えるので、この点も含めた分折が今後必要となろう。

12 普及指導上の留意点
 適用地域は、道南および道央の複合型野菜作経営に適用できるが、普及指導に当っては地域の収量水準、収量変動を把握し実状に合った経営目標所得水準および安定目標の設定には十分な注意が必要である。