【指導参考事項】
1.課題の分類　　ダイコン　栽培一般
2.研究課題名　　北海道における夏期露地野菜の規格品生産技術と品質保持に関する試験
　　　　　　　　　　　1.キャベツ、ダイコンの標準規格品生産技術確立試験
　　　　　　　　　　(1)-2　被覆資材による生産促進と安定化　(ダイコン)
3.期　　　間　　昭和56〜58年
4.担　　　当　　中央農試園芸部花きそ菜科
5.予算区分　　総合助成
6.協力分担　　中央農試園芸部加工科

7.目　的
　資材利用により生育を促進させて6月中に標準規格品を生産する。

8.試験方法
　(1)試験区別
　　①処理方法
　　　　露地(昭56)・マルチ(昭57、58)……ポリフィルム(0.02)
　　　　コンシール＋マルチ　昭56　ポリフィルム(0.05)　昭57、58タフベル(4,000N)
　　　　トンネル＋マルチ　　　　　ポリフィルム(0.05)
　　②供試品種　　　　　　天春、旭交春青
　(2)1区面積及区制　　1区7.5㎡(昭56)、6㎡(昭57、58)、3区制
　(3)供試土壌　　褐色森林土性疑似グライ土
　(4)栽培法
　　①一般作業・栽植密度
年度 は種期 間　引　間 収　穫　期 栽　植　密　度
昭56 4月28日 5月20、21日 6月30〜7月7日(露) (ベット幅110通路40株間30cm)3条植6.7株/㎡
昭57 4月27日 5月　8、19日 6月17〜　22日 (ベット幅60通路40株間30cm)2条植6.7株/㎡
昭58 4月28日 5月13、20日 6月16〜　23日 (ベット幅60通路40株間30cm)2条植6.7株/㎡
　　②施肥量方法　N-2、P2O5-1.3、K2O-1.8kg/a全量元肥
　(5)標準規格　「天春」700〜1,250g、　「旭交春青」540〜850g

9.結果の概要、要約
　(1)トンネル、コンシールの被覆栽培によって、4月下旬は種栽培の生育は、露地、マルチ単独に比べ、地上部、根部共に促進された。
　(2)コンシール資材としては、発芽前後に高温障害を受けやすいポリに比べ、タフベル(4000N)が省力的であり、夜間は保温効果が高く有効である。
　(3)生育促進効果によって、収穫期はマルチ単独に比べ、トンネル(ポリ0.05㎜)が4〜7日、コンシール(タフベル)が3〜6日早まった。
　(4)収穫期は品種によって異なり、「旭交春青」が50日前後、「天春」が55日前後で収穫期となる。
　(5)6月中、下旬の収穫で、標準規格品収量をマルチと比較すると、トンネル(1.3〜1.6倍)、コンシール(1.2〜1.5倍)共に増収となった。
　(6)す入は、両品種共発生、特に「旭交春青」が入りやすく、す入面からも適期収穫を心がける。以上の結果から、4月下旬は種、6月中、下旬収穫の栽培では、「旭交春青」(青首短根種)「天春」を用いて、トンネル、コンシールが有効であり、コンシール資材はタフベルが適する。また、収穫までの日数は、「旭交春青」が50日前後で、トンネルはやや早目とする。「天春」はいずれも55日前後をめどとする。

10.主要な試験データ

　　　図1.　平均一根重の変化

表1.　平均一根重、標準規格品収量、割合
No区分 項目 収穫期 平均一根重
(g)		 収穫※
kg/a		 標準規格収量
(kg/a)		 左割合 標準割合
(%)
年度 57 58 56 57 58 56 57 58 平均 57 58
1.天、露・マル 6.22 6.22 625 726 746 261 347 290 319 100 56 49
2.天、コ　　ン 6.22 6.20 858 987 1,021 519 509 481 495 155 75 68
3.天、ト　　ン 6.19 6.22 1,116 937 1,044 713 448 588 518 162 69 85
4.旭、穫・マル 6.19 6.23 585 545 626 267 213 263 238 100 48 58
5.旭、コ　　ン 6.19 6018 678 717 649 390 238 319 279 117 54 68
6.旭、ト　　ン 6.17 6.16 1,016 745 729 639 282 346 314 132 42 72
　　※　収量は600g以上

表2.　規格外重量、変異、す入程度
No区分 項目 2L・3L以上
(kg/a)		 総根重
(kg/a)		 根重変異
CV		 す入温度割合(平均)
(%)
年度 57 58 57 58 57 58 0 1 2 3
1.天、マル 0 60 502 499 28.0 38.7 20 57 22 1
2.天、コン 110 136 659 684 27.2 24.3 59 25 15 1
3.天、トン 122 79 628 684 29.2 21.3 72 17 9 2
4.旭、マル 12 73 367 407 25.8 32.1 0 58 32 10
5.旭、コン 183 49 467 429 27.3 24.0 12 40 48 0
6.旭、トン 238 119 568 489 35.8 16.9 9 42 34 15


図2.　天候別温度の変化(昭57)

11.今後の問題点
　本作型における良質品種(青首種)の栽培法の確立

12.普及指導上の注意事項
　(1)品種の収穫適期をのがさないこと、特に青首短根種は遅れないよう注意する。
　(2)トンネルの換気、コンミールの生育に合わせての調整に注意する。