【1指導参考事項】
1.課題の分類  野菜一般 作型・栽培一般・環境調節  道南農試
2.研究課題名  北海道における施設野菜の冬期栽培試験
         冬期生鮮野菜の生産技術試験(レタス)
 C レタス冬期生産技術試験

1)試験目的
 越冬作による冬期間の生鮮レタス生産について、温度環境と品種の適応性について検討する。

2)試験結果及ぴ考察
 54年10月1日播種の36日苗を定植したが、低温室では早生種のオリンピア、アーリーエンバイヤは地温不足のためか(夜間13.5℃、昼間18℃)外棄生育不十分のまま結球体制に入り小球にとどまったが、収穫は高温室より約10日早い1月中旬であった。
高温室は初期生育は良好であったが後半は停滞し、特に前記2品種は高温室でも小球より得られなかった。
供用品種の中でやや遅いペンレークが高温室でやや大球となったのにとどまり、向寒期の栽培では大苗とすることがよいと考えられた。

 55年 前年より大苗(52日苗)とし、室温を高温室では10〜13℃、低温室では8〜11℃とに下げて比較した。
活着は低温室でも良好で、前年と異なり高温室が早く生育し、低温室との収穫期の差は、早生種で2日、中生種で3〜5日、晩生種では8〜15日促進され、晩生種程促成効果は大きい。
しかし高温室では、結球始め頃より軟ぶ病など腐敗球を多く発生し、早生種程多かった。低温室は生育は緩慢であるが、収穫時点の茎葉、結球は高温室より大きくなり、腐敗の発生も少なく良好であった。
品種では早〜中生種がよくシャープリーが最も良い。オリンピア、アーリーエンパイヤ、サミットでは腐敗発生を考慮しなければならない。晩生種は生育期間が長く変形球も生じ易く不適当と考えられた。

 56年 ハウスが南北棟となって高、低温条件が充分にとれず、昼間は低温室がむしろ高く経過して温度による生育差は逆に低温室が早生化して小さくなる傾向を生じた。
品種特性は前年と同傾向で、供試品種中では中性種のシャープリー、シスコ(シャーブリーに類似)やや遅いサクラメントがすぐれ、ペンレーク、オリンピアでは生育後期に腐敗防止のため低温とするなどを考えねばならない。

 以上3ケ年の結果から、低温寡照の冬期間でも、夜間最低気温8〜11℃に保温される1層カーテン固定張りの光環境であれば、50日育苗で大苗(草丈13cm内外 葉数8枚内外)を作り、ポリマルチベットに11月20日頃定植すると、在ほ日数75日内外で1月下旬〜2月上旬に収穫される。適応品種としては、シャープリー、シスコ、サクラメントなど中生種が適すると考えられた。
ハウス在ほ日数は75日であるが、本試験は越冬作でも最も厳しい環境(11月下〜2月上旬)の時期に栽培され、これより収穫期を後退させるのであれば好条件となり栽培は容易となる。
省エネ的観点からは春白菜と同様に4月中〜下旬出荷のレタス栽培が有利と考えられる。

3)主要な試験データ

図1 越冬作レタスの栽培室温と収量(10月1日は種 11月21日定植)S55年度


図2 越冬作レタスの栽培室温と収量(10月2日は種 11月24日定植)S56年度

4)今後の問題点
 向寒期栽培における苗質と定植後の環境条件による生育の検討。
 越冬期間中の土壌水分管理と生育の検討。

5)次年度の計画
 代替エネルギー利用による寒地施設園芸試験へひきつぐ。(S59年度)