【指導参考事項】
1.課題の分類  野菜一搬 作型・栽培一般・環境調節 道南農試
2.研究課題名  北海道における施設野菜の冬期栽培試験
           冬期生鮮野菜生産技術(セルリー)
 D セルリー冬期生産技術試験

1)試験目的
 越冬栽培による冬期生鮮セルリーの生産技術について、一層被覆下で温度環境と品種、株間について検討する。

2)試験方法
年次 栽 培 期 間 供 用 品 種 温 度 環 境 株 間
S55年 播種 10月13日〜収穫3月13日 トップセラー 4段変温夜間最低H.13〜15℃L10〜13℃ 40×.35.40.45
  播種 11月13日〜収穫4月11日    〃   
S56年 播種 10月2日〜収穫3月15日    〃   ・コーネル619 4段変温夜間最低H.10〜13℃L8〜11℃
S57年 播種 10月6日〜収穫4月7日    〃      〃    6段変温4組合せ4室 ポット試験

 55年 播種時期を10月13日と11月13日の2時期に、約90日育苗苗を1.2m巾マルチベッドに3条植え(条間40cm)株間を3段階に変え定植した。56年は南北棟ハウスで室温を各々2〜3℃低くし高温室10〜13℃、低温室8〜11℃の夜間最低温度にセットして、10月2日播種、12月29日定植、前年同様に比較した。57年は環境制御温室で6段階変温で、4室温についてポット試験を行った。

3)試験結果及ぴ考察
 55年、10月13日播種では3月13日、11月13日播種では4月11日に全株重で1.5kg内外、調整株重では1kg内外のものが得られ、草丈、葉柄長では十分であるが、株重量ではやや不足であった。
高温室の生育がややまさり大株となった。株間では35㎝ではやや小さいが大差ではない。ハウス在ほ日数は60日内外で、育苗日数90日を加え150日の生育日数である。

 56年、播種期を10月2日に前進させ、12月29日定植した。在ほ日数76日で3月15日収穫した。
全株重が前年より小さかったのは、南北棟ハウスで昼間高温乾燥気味に経過したためと考えられる。トップセラーの生育が早く、コーネル619より大株となった。特にコーネル619では低温室での生育が劣り、かつ花芽形成も早く、3月23日残存株の抽苔株率は、トップセラーが平均31%であるが、コーネル619は60%で、高低両室での差はなく、この時期の大株生産では更に温度の検討が必要である。
株間の影響は小さかったが、大株生産ではやはり問題となるように考えられる。

 57年 ポット栽培で温度による抽苔性について環境制御室で比較した。トップセラーが抽苔が遅くコーネル619が早い、高温室20〜24〜22〜20〜18〜16℃サイクルでは最も抽苔が遅く、最も低温制御された12〜16〜14〜12〜10〜8℃サイクルが花茎伸長が進んでいて、次いで16〜20〜18〜16〜14〜12℃サイクルであった。12〜12以上成行〜同〜同〜12〜12℃サイクルは、高温についで生育がよく、抽苔もやや遅い、更に夜温の検討が必要である。

 以上10月〜11月中旬播種で90日苗(草丈2cm、葉数8〜9枚)を定植し、4段変温管理で夜間最低温度10〜13℃であればハウス在ほ日数60〜70日で全株重1.5kg程度のものが生産できる、供用品種としてはトップセラーが低温での生育もよく抽苔が遅く適応すると認められた。

4)主要な試験データ

図1 冬作セルリー栽培環境と生育収量


図2 冬作セルリー栽培環境と生育収量(10月2日播種、3月15日収穫)


図3 冬作セルリー変温制御による生育差(10月6日播種、12月25日定植)


図4 冬作セルリー変温制御による生育差とCa欠発生葉序(10月6日播種、12月25日定植)

5)今後の問題点
 冬作における抽苔生理と大株生産

6)次年度の計画
 栽培環境と花芽分化、抽苔生理を検討して大株生産技術(S59年度)