【指導参考事項】
根釧地方における土壌凍結の実態および畑地に対する融凍促進法
その2.凍結土に対する融凍促進法試験(昭和56年〜58年)

根釧農試土壌肥料科
協力機関 ホクレン根釧開発
     根釧管内農業改良普及所
     十勝農試農業機械科

目  的
 凍結土の融凍を促進し、畑地の停滞水を早期に排除して、春耕開始を早め、作物の適期播種、適期移植を可能とする方策について検討する。

試験方法
 1.融凍促進法に関する基礎試験
  農試圃場において穿孔法による融凍促進法について検討する。
  試験項目:①穿孔効果、②穿孔径(4㎝、10㎝)③穿孔間隔(1m、2m、4m)
  調査項目:①凍結深度、②積雪深.③地温(10㎝毎 深さ60㎝まで)④融凍率、
        ⑤表土含水比、⑥表土地温
 2.穿孔効果確認試験
  農家圃場(標津町)において、春季穿孔式融凍促進法を実施し、その融凍効果およひ施工要領について検討する。
  試験項目:①穿孔効果(穿孔区、対照区)。
  調査項目:基礎試験と同じ。

試験成果の概要
 1.凍結土に穿孔することにより融凍の促進されるのが認められた。融凍促進効果は、年次により異なるが、凍結深度の深い年次においては、10日以上融凍が早められた。
 2.凍結土に穿孔した結果、融雪、融凍で生じた停滞水の排除およひ温空気の地中への侵入が行なわれ、その結果、土壌水分の減少、地温の上昇が助長され、土壌乾燥の早まることが認められた。
 3.穿孔要領としては、穿孔径10〜15㎝、穿孔間隔2〜2.5m、穿孔の深さ50〜60㎝が適当と思われた。
 4.融凍促進法の施工が有効な年次としては、2月下旬の凍結深度が少なくも40㎝あり、かつ積雪深が20㎝程度の場合には、春先の融凍日が5月にずれこむおそれが多いので、施工が必要であると判断される。

試験成果の具体的データ
表−1 各種工法における融凍促進効果め比較(融凍率80%に達した月日)
年次 処理区
/工法
春季穿孔法 秋季穿孔法 秋耕起法
56年 施工区 4月14日 4月16日 -
対照区 4月18日 4月18日 -
保進日数 4日 2日 -
57年 施工区 4月24日 4月14日 4月23日
対照区 5月3日 4月15日 4月22日
促進日数 9日 1日 −1日
備考 施工区は孔径10㎝、間隔2mの穿孔区施工区はプラウ耕(25㎝深)


図1.穿孔の大きさによる融凍効果の比較


図2.穿孔の間隔による融凍効果の比較


図3.穿孔法による融凍効果の年次変動


図4.各区の表土の地温と含水比の推移(昭和56年、5cm深)

普及指導上の注意事項
 1.融凍促進のため、穿孔法を実施するか否かの決定にあたっては、その年次の融凍期を予測する必要がある。その方法としては2月下旬の凍結深度および積雪深によって、第1次の判断を行ない、その後の気象状況をみて、3月中旬までに、第2次の判断を加味して決定する。
 2.施工にあたっては、施工機の性能を良くは握に実施すること。