1 課題の分類 畜産管理 2 課 題 名 酪農機械施設の装備基準策定に関する試験 −スラリーばっ気、攪拌機の利用性能− 3 期 間 昭和57年〜58年 4 担 当 道立中央農試機械部 道立根釧農試酪農科 5 予算区分 道 費 |
7 目 的 春先の氷結スカム発生を防止するため、スラリーばっ気、攪拌機の
利用性能を明らかにし、糞尿処理・利用技術の参考とする。
8 試験方法
1)供試機 送気併用式(75-TRN特殊型、アルドー4型、エアロックスA-550型、
レコックスA-7型)、プロペラ式(SR4450型〉 計5機種 および無処理
2)実施試験および測定項目
(1)冬期における長期間欠運転
a.期 間 昭和57年12月22日 〜 昭和58年4月11日
b.運転時間 15分運転・45分休止、ただし一機種15分運転105分休止
c.測定項目 気温、スラリー温度(底から0.5m、1.5m、2.5m、3.5m)
粘度(上、中、下の各層)、凍結およびスカムの状況
(2)春期における連続運転:測定項目は(1)に同じ
a.期 間 昭和58年4月11日 〜 5月4日
(3)秋期における間欠運転:運転時間、測定項目は(1)に同じ
a.期 間 昭和58年9月29日 〜 10月25日
b.機 種 75TRI特殊型、アルドー4型、SR4450型
3)実施場所 根室 新酪農村 スラリータンク利用酪農家
9 結果の概要
1)冬期における間欠運転
無処理では、4月11日の時点で貯溜スラリーの表面にスカムが50㎝以上あって、
その下に厚い凍結層が確認された。
また、粘度も上・中・下層共に10000c.P.以上で経過した。
一方、運転処理区では、一部に浮遊する若干のシャーベット状凍結が
見られる程度で、粘度は極表層を除き6000c.p.以下となっていた。
2)春期における連続運転
約16日間の連続運転で、ほとんどの運転区では、極表層を除き、4000c.p.以下
の粘度となった。冬期に105分休止15分運転した区は45分休止区に比し、粘度
ではあまり差が見られなかったが、温度経過では連続運転換算期間で約10間の
遅れとなっていた。
一方、無処理では8200c.P.以上であり、スカムの厚さも1.5〜2.0mに達してい
た。
3)秋期における間欠運転
ねらいはスカムの撹拌効果であるが、無処理が1200〜7500c.P.でスカムが認め
られたのに比し、処理区は事前の処理が若干あったせいか、80〜40Oc.P.とスカ
ムは全く無であった。
以上のことから、冬期には1時間当り7.5〜15分の間欠運転、春期には長くとも
10日〜15日の連続運転をすれば圃場散布作業を円滑に行いうると判断される。
また、夏期、秋期においてはスカムの撹拌のため、必要に応じ、1時間当り、
7.5〜15分の間欠運転をすればよいと判断される。
10 主要成果の具体的データ
1)供試機の基本性能および利用試験時のスラリーの粘度経過
75TRN | アルドー4 | エアロック スA550 |
レコックス A−7 |
レコックス 105分休止 |
SR4550 | 無処理 | ||
電動機定格出力 | 7.5kW | 5.5kW | 5.5kW | 7.5kW | 同 左 | 5.9kW | ||
電動機消費電力 | 35.3A | 11.0A | 12.5A | 23.3A | − | 15.7A | ||
毎分送気量 m3 | 1.1 | 0.7 | 2.3 | 3.3 | − | |||
ス ラ リ ー 粘 度 (c. p.) の 経 過 |
2 月 上 | 3600 | >104 | 1800 | 2100 | 6600 | 4800 | >104 |
17日 下 | 3000 | 5100 | 1400 | 3100 | 3800 | 4600 | >104 | |
4 月 上 | 1200 | 5800 | 7200 | >104 | >104 | 2000 | >104 | |
11日 中 | 1500 | 2300 | 1700 | 4200 | 5500 | 2800 | >104 | |
下 | 1700 | 2100 | 1200 | 1900 | 1500 | 2100 | >104 | |
幅80㎝の 凍結泡深 37㎝ |
幅約1m の凍結 |
スカム厚 50㎝下 凍結 |
||||||
4 月 上 | 800 | 8800 | 3000 | 9000 | 8000 | 4800 | >104 | |
18日 中 | 1200 | 2800 | 2900 | 6800 | 7000 | 4900 | >104 | |
下 | 1100 | 2200 | 3000 | 2000 | 3000 | 2200 | 6000 | |
4 月 上 | 1000 | 9500 | 6300 | 9200 | 8000 | 1800 | >104 | |
27日 中 | 1200 | 2500 | 1800 | 4200 | 3800 | 2000 | >104 | |
下 | 1000 | 2300 | 2500 | 2000 | 1900 | 3000 | >104 | |
9 月 上 | 600 | 200 | - | - | - | 50 | 1500 | |
29日 下 | 700 | 200 | - | - | - | 550 | 800 | |
10月 上 | 400 | 200 | - | - | - | 20 | 1700 | |
11日 下 | 600 | 100 | - | - | - | 50 | 5000 | |
10月 上 | 400 | 80 | - | - | - | 20 | 1200 | |
25日 下 | 300 | 200 | - | - | - | 50 | 7500 |
2)利用試験時のスラリー温度の経過
11 普及上の留意点
1)春期にスラリー投入の際には、凍結している部分にぶつけるようにする。
2)送気併用式は、スラリーの貯溜量が多い時には、泡があふれるので注意が必要。
12 次年度の計画
な し